リーダーシップ

「宿澤広朗 運を支配した男」加藤仁、講談社+α文庫、2016

P186

(前略)宿澤は講演の場でラグビーにおけるリーダーシップが求められるのは

 「チャンスとピンチのとき。それ以外のときは、それほど必要ありません」と持論を語っているからである。「ここぞというときに、いかに明確なリーダーシップを発揮できるか。いまがチャンス、いまがしのぎの場面という意識をチームに徹底させ、いざというときに全員の心をひとつにさせる力がリーダーシップです」と。

テレビは脳の敵

「モテたい脳、モテない脳」澤口俊之×阿川佐和子、新潮文庫、平成17年

P210

テレビは脳の敵

阿川 どうしたら脳にダメージのない生活を送ることができますか。

澤口 まだよくわかっていません。環境ホルモンといって騒ぎ出して、それの脳に対しての影響を調べはじめたのは、ここ五年ぐらいのことです。それでわかってきたことは、環境ホルモンがこれまで考えられていた以上に、脳に対してダメージを与えるということです。ですが、それまでは平気で摂取していたわけです。

阿川 それは実験のデータで?。

澤口 人間では実験ができないので、今のところラットのデータです。海馬にダメージを与えるとか、いろいろなことがわかってきています。また、ラットそのものを使うのではなく、神経細胞を培養して、そこでどういう影響が出るかという実験をするんですが、思っていた以上に環境が脳に与える影響が大きいことがわかってきました。まず、テレビを見せることは脳に悪いんですよ。

阿川 テレビが?

澤口 ええ。三歳から六歳ぐらいの間にテレビを見せることが、いかに脳に悪いかということがわかってきています。

阿川 幼児期にテレビを見せないと、ずいぶんいい影響があるんですか。

澤口 そう思います。

 お母さん方が手を抜きすぎているんです。お母さん方は、忙しいし、自分がやることがいっぱいあるので、子どもを静かにさせておくためにテレビを見せようとする。テレビというのはパラパラ変わる刺激があります。刺激が変わるものには、大人も子どもも引きつけられます。生き物というのは、変化するものを見る性質を持っていますから。

 テレビはパラパラ画面が変わるので、子どもはずーっと見てしまいます。集中して見ていると思っているかもしれませんけれど、それはただ単に見ているだけであって、脳はほとんど使われていません。

 そのような状況に置かれ、パラパラ変わるものをいつも見ていると、それに慣れてしまうので、よりパラパラ変わるものが好きになってしまう。また、集中力が落ちてしまい、注意が散漫になります。これに注視したと思ったら、また別の画面ですからね。

 最近の児童に多いのが、集中力がなく注意力がどんどん分散するADHD(注意欠陥多動性障害)です。落ち着きがなく、注意が欠損しています。現在、全児童の五パーセントがADHDといわれています。二〇年間で五倍ぐらいに増えたとされ、その最も大きな原因はテレビだといわれています。

 たった二〇年間です。この二〇年の間に、そんなに進化的に変わるわけはないので、やはり環境ですね、変えているのは。

阿川 テレビゲームは?

澤口 まずいですね。テレビゲームでまずいのはシューティングゲームのようなものです。日大や東北大の研究グループが最近明らかにしたところによると、テレビゲームでは前頭連合野をまったく使わないということがわかりました。

阿川 どうしてですか。

澤口 頭を使わないんです。テレビゲームで頭を使うゲームもありますが、シューティングゲームは反射的なゲームなのでまったく頭を使いません。一部の脳の部位しか使わないということがわかってきて、これもADHDなどの障害につながるようです。

 とはいえ、テレビやテレビゲームが脳にどんな影響を与えるか、まだ推測の域を出ないので、今後きちんと調べてゆく必要があると思います。われわれも今そんな研究をしようとしているんですけど。

キャプテンは強気が一番

「宿澤広朗 運を支配した男」加藤仁、講談社+α文庫、2016

P175

 「キャプテンは強気が一番」

 これは講演の場などで宿澤が再三語ってきた言葉である。ラグビーの監督としてキャプテンを選ぶにあたり、なによりも「強気」であることを重視した。この体験を市場営業部門の職場にも敷衍(ふえん)して、宿澤はこう言う。

 「リスクをとれる強気な人間は数十人に一人ぐらいです。その強気の人材を発掘するのが、私の部長としての仕事です」

真の幸せ

「世界の大富豪2000人に学んだ幸せに成功する方法」トニー野中、総合法令出版、2012

P217

 それでは成幸者はいつになったら真の幸せを感じられると考えているのでしょうか。

 彼らによると、「死ぬ寸前にならなければ自分の人生が本当に良い人生だったとはわからない」と考えているようです。

 終末期医療、緩和医療医の権威で末期がんの患者1000人の死を見届けた大津秀一先生という方がいます。

 ベストセラーとなった「死ぬときに後悔すること25」(致知出版社)という本の著者でもありますが、彼によると人間が死を迎えるとき、自分の人生を振り返って、最も後悔することは”できなかったことに悔やむのでなく、やらなかったこと、チャレンジしなかったこと”に一番後悔してこの世を後にしていくそうです。

 成幸者はこのことを深く理解しています。だから、後悔しないよう自分の興味のあることには積極的にチャレンジして、人生を死ぬまで走り続けます。

 誰のせいにすることもなく、自分の人生は自分で責任を持ち、毎日充実した日々を過ごしています。

 極めて多くの人が興味を持つお金に対しても、財産とは持っているお金の額のことではなく、お金をすべて失った後に残るもの、それこそが真の財産であると考えています。

 考え方やモノの見方をほんの少し変えるだけで、人生はこれほどまでに素晴らしく変わり、そして輝き始めるのです。

 ほんの少し磨いてあげるだけで煌々と光り輝くダイヤの原石かどうか、あなたは自分自身を試したいとは思いませんか?・

顧客や上司には「即答、断定」

「宿澤広朗 運を支配した男」加藤仁、講談社+α文庫、2016

P169

 もともと宿澤は不確かな物言いを嫌う男でもあった。

 あるとき宿澤は部下を前にして、イギリス駐在時代の体験を語ったことがある。大物の顧客といっしよにロンドン郊外に出かけた折、牧場にさしかかると、クルマの後部座席から客が問いかけた。

 「あそこにいる牛たちは、どこで寝るのかね」

 助手席にいる宿澤がすぐさま答える。

 「ここ(草の上)で寝ます」

 宿澤にしてみれば、確信があったのではないが、「さあ、どうでしょうか・・・・・」という返事ではなく、咄嵯の判断によって「ここで」と断定するように言った。あとで牧場に確かめると、実際にそうしていることもわかったという。この逸話から宿澤はなにを部下に伝えたかったのか。

 「偉いひとの前では、言いきらなければならない。ああでもない、こうでもない、と自信なさそうに言うと、信頼されない。形容詞は少なく、できるだけシンプルに答えるのがいいのだ」

 と宿澤は説明したという。言葉を濁したり、先に逃げを打ったりしてはならないと日ごろから宿澤は肝に銘じていたのであろう。部下にたいしても「きみたちも自信を持って断定的に言えるよう、仕事に精通してくれ」と暗に伝えたかったようである。

 あるとき市場営業部門の業績が落ちこみ、西川善文から叱責されたときも、宿澤は言い訳はしなかったという。誇りを傷つけられまいとして「前期は儲けましたよ」と宿澤は言いかえしてもいた。

「セイム プレス」「セイム ウォーク」「オールウェイズ セイム スマイル」 

「キリカエ力(りょく)は、指導力 常識も理屈も吹っ飛ぶコーチング」平尾誠二監修、梧桐書院、2005

P148キリカエ4逆境脱出 山田久志(元阪急投手)

「セイム プレス」

「セイム ウォーク」

「オールウェイズ セイム スマイル」

 一九七一 (昭和四六)年の、阪急対巨人との日本シリーズは、私にとって思い出深い一戦です。記憶にある方も多いと思いますが、私は王貞治さんにサヨナラスリーランを打たれました。

 殊勲者はもちろん王さんですが、これには実は布石があって、一対0で阪急リード、打者は王さんの前の長嶋茂雄さんです。長嶋さんがプロ野球の世界で、なぜあれほどすごいといわれてきたか、それは一緒にやってきた人間として本当によくわかります。

 長嶋さんは、前の打者の柴田勲さんがバッターボックスに入ると、ネクストバッターズサークルにいて、いつものように膝をつき、バットを地面においてじーっとマウンドのほうを見ています。決してバットをビュンビュン振るタイプではなく、その目は果たして本当にマウンドなのか、外野なのか、はたまた客席なのかさっぱりわからないのです。「三番サード長嶋」とアナウンスされると、おもむろに腰をあげて、実にゆっくりとバッターボックスに入ってくる。そのときマウンドにいる私は、おいおい、もっと早く歩いて来いよと思うわけですが、まったくお構いなしです。

 そして今度は、バッターボックスの少し手前でやたら動き回る。腰を振ってみたり、バットをぐるっと回してみたり。守っている私もキャッチャーもただ待つしかないのですが、これが長嶋さんの一番得をした部分です。

 サインが決まっているのですから、私もただ投げればよいわけで、よしと気を入れ直して投げようとするのですが、長嶋さんはここでいつも「タイム!」。日本シリーズの最高の場面で、タイムをかけるのです。ピッチャーとアンパイアにちょっと手を上げて、そのあと何と言ったと思いますか?

 「やまちゃーん、ちょっと待ってえ」です。

 たまらないですよ、こちらは。山ちゃんはないだろう。あの甲高い声で、にこっと笑って。いったい俺は誰と勝負しているのか、一瞬わからなくなりました。

 これも長嶋さんならではのパフォーマンスですが、野球界で長嶋さんがナンバー1だといわれるのはまさにこの点です。常に自分のリズムで動き、自分のペースに相手を引き込む。これはなかなかできないことです。 メジャーに行ったイチロー選手にも同じことが言えるでしょう。屈伸して、バットスイングをして・・・・・いつも同じ動作をしてから、バッターボックスにスムーズに入る。その時間を計った人が実際にいるのですが、毎回ほとんど狂いがなかったそうです。今ではそのリズムにピッチャーのほうが合わせていて、決して文句を言う選手はいないのだからすごい。

 何をするにも、リズムというのはとても大切です。生活のリズム、プレーするリズム。コーチも、選手の持っているリズムをうまくつくり出してやるような指導するとよいと思います。

 私は以前、NHKの「サンデースポーツ」という番組でキャスターをやらせていただいたことがありますが、さまざまなスポーツ選手の話題に触れる中で、リー・トレビノさんというシニアのゴルフプレーヤーに話を聞いたことがあります。私は彼へのインタビューの中で「ゴルフ人生において何をもっとも心がけているのか」という質問をしました。

 返ってきた答えは三つ。一つ目は「セイム プレス」。常に呼吸を同じに保つ。どんな状況でも呼吸を乱してはいけない。乱すといいプレーはできないというもの。次は「セイム ウォーク」。いつも同じリズムで歩く。歩調は乱さない。そして三つ目が、「オールウェイズ セイム スマイル」。いつも笑顔を忘れず心に余裕を持ちなさい。

 なるほどと大いに納得させられました。彼の場合は個人競技ではありますが、団体競技であっても同じことだと思います。もしこのような人間がたくさんいたら、多いチームが勝つのではないでしょうか。 プロ、アマを問わずチームをつくり上げるとき、いつも同じ空気、同じリズムで戦うということを、意識の中にぜひとどめておいてください。

益城町

2016.5.13(金)先日所用で地震被害の一番大きかった益城町に行ってきました。院長の住んでいる北区と見える景色が全く違います。倒壊家屋の実物を初めて見ました。つぶれて屋根だけになっている家。2階建ての1階部分がつぶれている家。神社の石でできた柵も倒れて歩道に落ちたままになっていました。「危険」と赤紙が貼られた家。歯科医院も見えたけどもちろん閉まったまま。看板が傾いていました。上下水道とも不通のままだそうです。4月14日の第一震からもう1か月ですから。人はいなくなるでしょ。セブンイレブン1軒だけ開いていましたが、ゴーストタウンのようです。聞こえてくる会話もすごい。「自宅はどうでした。」「ぐちゃぐちゃ。」「住めてる?」「ええ。」「よかったじゃない。みんな住めなくて出ていっているのよ。」「うちももう一回来たら駄目みたい。」短時間だけおじゃましましたけど相当被害ひどかったみたいです。院長の車の1台前は岡山ナンバーのごみ収集車でした。いろんな所の方の支援を受けているようですが復興はまだまだ遠いという感じです。暗くなりました。「益城町を見ずに、自らを被災者と言うなかれ。」ある人の言葉だそうです。

結果は二の次でいい

「ラグビー日本代表を変えた『心の鍛え方』」前日本代表メンタルコーチ荒木香織、講談社+α新書、2016

P27

結果は二の次でいい

 プレ・パフォーマンス・ルーティンでよく誤解されるのは、五郎丸選手の場合なら、「キックに集中するために行う」と思われがちなこと。

 そうではなくて、「プレ・パフォーマンス・ルーティンに集中する」のです。五郎丸選手自身、こう語っています。

 「僕はキックを蹴るときには何も考えていない。頭にあるのは、自分のルーティンがしっかり守れているかどうかだけだ」

 ですから、キックが成功したかどうかは、関係ありません。ルーティンを遂行すれば、パフォーマンスの強化・向上に影響すると、スポーツ心理学で明確にされているからです。実際、五郎丸選手はあのルーティンの最中、「何も見えないし、聞こえないし、感じない」と語っています。

 したがって、もっとも重要なのは、理想とする動作を確立し、それを完璧に遂行できたかどうかということ。五郎丸選手と私は、三年間それに取り組んできました。

リーダーを育てる

「キリカエ力(りょく)は、指導力 常識も理屈も吹っ飛ぶコーチング」平尾誠二監修、梧桐書院、2005

P77宿沢広朗

 私は結果的にリーダーに平尾選手を選びましたが、日本の場合はこの「選ぶ」というのが標準的なやり方です。これに対してイギリスを例にとれば、「育てる」ケースが非常に多い。

 私がイギリスに赴任していたとき、ちょうどイングランドが対抗試合で優勝して、キャプテンのビル・ビューモント選手が引退しました。次は誰がキャプテンになるのかと思っていたら、スティーヴ・メルビルという二二歳のスクラムハーフの新人が、代表入り間もないにもかかわらず選ばれたのです。                                

 これには驚きました。大学で、新入生の一年生がキャプテンになるようなものです。こういうことがなぜ起きるのかと、大変不思議に思いました。

 しかしイギリスでは、それほど驚くようなことではないのです。選ばれた選手は、アンダー20、アンダー19、アンダー17とずっとキャプテンでした。つまり彼は、キャプテンとして育てられてきた。

 イギリスではアンダー17くらいのときに、通常のコーチから技術面を徹底的に教えられます。スクラムハーフのポジションなら、パスやフォワードへの指示など。そういうスキル以外に、リーダー教育として、もうひとりコーチがついて、チームメイトにここで何を指示したらいいのか、ここではどういうサインを出すべきか、相手の今の状態をどう分析するかなど、キャプテンとしてのコーチングを指南されるのです。各レベルのときに、そういった指導を受けてきたことで、代表でもすぐにリーダーになれたわけです。

 これはラグビーだけでなく、イギリス国内のすべてのことに共通します。チャーチルやサッチャーといった首相たちも、こうした適性資質を身につけるよう育てられました。学術、文化、スポーツなどすべてにおいて、リーダーを育てるという前提で進められています。教育システムそのものがそうなっていて、日本にはあきらかにないものです。

 リーダーを育てるというカルチャーがいろんな分野で進んでいるというのは、非常に魅力的です。日本とイギリス、どちらがいいとは安易には言えませんが、とても興味深い例でしょう。

勝ちの文化をつくる

「ラグビー日本代表を変えた『心の鍛え方』」前日本代表メンタルコーチ荒木香織、講談社+α新書、2016

P66

「勝ちの文化をつくる」

 ニュージーランドでは、一度でもオールブラックスに選ばれれば、みんなが憶えていてくれるし、尊敬される。強いチームには勝利を積み重ねることで生まれる、そういう「勝つ文化」というものがあります。

 ところが、日本にはそれがない。当然です。負けてばかりだったのですから。

「それでは、勝つチームというのはどんなチームなのだろう」

 みんなで考えたときに出てきたのが、「誇り」という言葉でした。

「代表であることに誇りはなかったのか」

 疑問に思われるかもしれません。

 でも、現実に選手たちはあまり感じていないようでした。リーチ選手は「どうかなあ」と言っていたし、五郎丸選手も「勝ったことないからなあ」。

 「日本の代表なんだから」と周囲から誇りを持たせてもらっていたかもしれないけれど、あらためて問いかけられると、自分たちの中から湧き上がる誇りというものはなかったのだと思います。

「ならば、誇りって何だろう」 そう思ったときに、「君が代」が浮かんできたのです。私は訊ねました。

「国歌斉唱、みんなしてる?」

「いや、あんまり考えたことない」

 実際に過去の試合の映像を見てみたら、誰もちゃんと歌っていなかった。

 「だったら、そこからはじめてみよう」

 君が代に対してはいろいろな意見や感情があるのはわかっています。選手たちも、大きな声で歌うことに関しては躊躇があったようです

 ただ、スポーツの世界で、ワールドカップを目指すチームとしては、その行動は決しておかしいことではない。リーダーたちはそう考えました。

 日本代表には外国人選手やコーチが少なくありません。そこで「君が代はこういう歌詞なんだ、こういう意味なんだ」と説明する時間をつくり、練習しました。

 「スタッフと外国人も一緒になって、全員で肩を組んで歌いましょう、そうやって試合に入りましょう」

 そう言って、みんなで取り組むことにしたのです。 マイケル・ブロードハースト選手なんか歌詞を覚えられないから、手に「chi yo ni ya chi yo ni (チヨニヤチヨニ)」と書いていました。「今日ちゃんと歌えないと、明日は練習させてもらえないらしいぞ」と誰かが嘘をついたらしく、「まずい」と思ったようです。

 試合によっては、前奏がある場合とない場合があるし、歌手の人が歌う場合もある。そのあたりも事前に確認して、みんなで歌えるように準備をしました。

 人は、何のためにそこにいるのか、何のためにそれをやるのかということがわからないと、みずから積極的にコミットしようとは思いません。日本代表には、それが必要でした。

 先ほど言ったように、それまでの代表選手たちは、誇りを周囲の人たちに持たせてもらっていた。自分自身が感じているものではなかったから、チームに対してコミットしようという主体性が生まれえなかった。チームとしての一体感もなかったのです。

 誇りというものは、周囲の人たちにつくってもらうものではないし、エディさんがつくるものでもない。選手たちが自分自身でつくりあげていくものです。そのための取り組みのひとつが君が代を全員で歌うことだったのです。

 実際、取り組みをはじめて二年目に、テストマッチのあとである選手がこう言いました。

 「外国人コーチもスタッフも、全員が肩を組んで君が代を歌っているのを見てめちゃくちゃ感動した。士気が高まった」

今度あったらどう行動するか

 今回の反省を踏まえて今度同じような地震があったらどう行動するか、シミュレーションしてみました。2度目の後小学校の校庭に行きましたが、その前にコンビニか24時間営業のスーパーに行くべきでした。おにぎりやサンドイッチなど傷みやすいものは2日分くらい、カップ麺など日持ちするものは少し多めにキープしておくべきでした。水は2Lのペットボトルがリーズナブルで使い勝手がよかったです。コンビニでも1本100円程度。スーパーやドラッグストアでは60円台であるのではないでしょうか。熊本は水が良いものだから水を買うという発想がありませんでした。amazonでも買えるとはじめて知りました。流通は2〜3日で回復するでしょうから早めに注文しておいて届くまでのつなぎの分を確保するようにしたら良いようです。非常食からパックご飯、缶詰、カップ麺なんでもamazon。何で思いつかなかったのか?なんかグルグル回っていたのがバカみたい。20kgのポリタンクが届きましたが、移動させるのが大変でした。風呂の水は貯めておくべきです。断水したらトイレの流す水になります。

 小学校の校庭では行くのが遅かったので、建物の近くに止めてしまいました。ガラスが割れたりしたら落ちてきて危なかったかもしれません。車中泊を1晩経験しましたが、寝られたものじゃないです。この日はボーッとして夕方まで動けませんでした。ガソリンは品薄のうわさがありました。早めに入れておいた方がよさそうです。一酸化炭素中毒が怖いのでエンジンは切ります。毛布を持ち込みました。渋滞に巻き込まれるのが嫌だからと外出しなければ、コンビニの搬入に出会うこともありません。こまめにいろんなところを回った方がいいようです。スーパーとか開くようになっても、駐車場の狭いところには近づかないようにしました。行列ができているようなときには収容台数を明らかに超える車が入っているところがあって、身動き取れなくなってしまいます。菊陽ダイレックスは行列に並びましたが、菊陽ボウルと駐車場が一緒になっていて収容台数に余裕があったようです。あとガスがなかなか開かなくて料理ができなくて困りました。電気式の調理器具を持っておいてもいいかなと思いました。

 大牟田に奥さんの実家がある人に聞きました。「大牟田まで行けばスーパー普通に開いていましたよ。」行けばよかった。県を越えた買い物も視野に入れます。

Ciメディカルに感謝!

4月30日(土)に石川県の歯科通販会社Ciメディカルから以下の文章と共に500mlのお茶2ケース48本贈られてきました。大変驚きました。心より感謝します。

「平素は、大変お世話になっております。
4月14日以降の地震で熊本県が激しい揺れに遭われ、甚大な被害を受けられていることに対し、心からのお見舞いを申し上げます。
 本来なら、直ちにもお見舞いにお伺いすべきと存じますが、まずは弊社より心ばかりのお見舞いをお送りさせて頂きます。何かのお役に立てていただければ幸いに存じます。
復旧にはたいへんなるご苦労もあるかとは存じますが、一日も早く今まで通りの熊本県にもどりますことを切にお祈り申し上げます。
甚だ略儀ではありますが取り急ぎお見舞い申し上げます。

 

                              株式会社歯愛メディカル社員一同」

全国の歯科医師の皆さん積極的に利用してあげてください。お願いします。

熊本大地震G

4月29日(金)水の確保に苦労しました。熊本ではお茶の2Lのペットボトルが100円ぐらいからあるのでいつも5〜6本ぐらい買い置きしてあります。その上に早い段階でコンビニで1ケース確保出来ました。この段階でもう1〜2ケース買っておけばよかったです。水は腐るものではないですから。スーパーとか開いても本数制限があってもどんどん商品がなくなっていく、次に買えるあてがないことの恐怖。自衛隊の給水とか見かけましたけど100mぐらいの行列ができています。うちでもう大丈夫と思ったのは500mlを1ケース確保できた翌日に大分の日田市から九州では有名な日田の天領水を送って頂いた時です。20日発送の21日着でした。20kgのポリタンク2個に500ml2ケース。院内の女の子に少しずつですが持たせることができました。「助かります。」とのことです。みんなも苦労してるんだなと。食料の確保も大変でした。電気しか使えないので電気ポットでお湯沸かすくらいです。カップ麺を確保と12個もまとめて買ってしまいました。いつ買えるかもわからない恐怖感がありました。ほとんど残っています。行列に並んで入れなければいけなくなるのでガソリンはできるだけ減らしたくないのですが、食料求めてぐるぐる回りました。セブンのマークのトラックを見つけた時は、必死になりました。イオンモール熊本では供給過多でおにぎり1個10円弁当1個100円で売り出したとのネット情報ですが、イオン菊陽では全然そんなことありませんでした。今日は半日片付けで汗だくになりました。1Fの倉庫代わりしている部屋で本棚3台ひっくりかえってまだ手付かずでした。うち開きのドアに本棚が倒れ掛かって開きません。窓から入って窓から本を運び出しです。何往復したことか。何とかドアが開くところまでもっていけました。GWは今治に帰る予定でしたが、あきらめました。今日も大分で震度5です。大分は通り道です。阿蘇大橋が落ちていつもの通り道は通れません。ミルクロードからの迂回は出来るそうです。熊本も揺れています。行くなということだと思います。片付けをして過ごします。(落ち着いて考えれば待合室のミネラルウォーターサーバーの補充用の樽が2つありました。でもあの時はまったく思いつきませんでした。)

熊本大地震F

2016.4.27(水) 4月21日(木)より診療再開しました。最初に水が出るのを確認したのが日曜の夕方ですから濁りが取れるのに4日待ちました。普通に診療できる喜びを味わっています。2発目の地震の翌日コンビニに行ったらコンビニの人が「お客さんが殺気立っているので私たちも商品を持っていくのが怖い。」と配送トラックの運転手さんと話しているのが聞こえましたが、みんな淡々と順番に冷静に買っていました。ただ一人前のお客さんの会計が弁当とおにぎりだけで4000円近くになり、「それって何人分?」と思いました。スーパーが開いて、一人一人の買い物の分量が半端じゃなくレジ待ち行列に並びました。20分も待っていると前後のお客さんと仲間意識のような感じになってカートを行列に置いたまま少し離れた所の商品を取りに行ったりしました。最終的にレジに並ぶ時最初に並んだところより隣のレジが早そうだと移動しようとしたら、一人後ろで待っていたお客さんと動きが重なり、「どうぞ」と譲って頂きました。その人は僕が最初に並んでいたレジに並びました。買い物かごに2Lのペットボトル6本。すき間をカップ麺が埋める感じ。重いのでカートに乗せる時、後ろで待っていた別の男の人が手を貸してくれました。重いので車までカートを押して行こうとして段差でカートが跳ねてカップ麺のレジ袋が落ちそうになったら、前から来ていた男の人がすれ違いながら落ちないように手で防いでくれました。なんか色んなところから手助けの手が伸びてくる感じでみんなやさしいなと。地震で少し変わったかなと。昨日(4月26日火)からガス復帰しました。これでやっと自宅で風呂に入れます。ガス復帰してくれた人は神奈川からの応援だと言っていました。患者さんの中で「今日は体育館から来ました。」という人が2人。瓦が飛んでブルーシートで雨漏りしても「しょんなかもんね(しょうがない)。」という患者さんの言葉に思わず涙が出そうになりました。

熊本大地震E

2016.4.20(水)PM5:00今日は水の濁りが大分薄くなりましたが、まだわかるのでデンタルチェアーの電源は入れられません。しかしいつまでもクローズという訳にいかないので午前中だけ開けてみました。往診に行くつもりで技工室のエンジンを持ち出しました。うがい用の水は待合室のミネラルサーバーから紙コップで持ち込みます。4人の方が来られました。1人目の方は一昨日、昨日と「開いてますか?」と問い合わせがあった方です。ブリッジが折れて動揺していました。即時抜歯もできましたが痛みはないということなのでもう少し落ち着くまでこのまま様子をみようということになりました。2人目の方は昨日の予約だった方です。筆談しかできないので連絡できず困っていました。前装冠のセットなので技工用のエンジンで調整し、出来ました。3人目の方は今日電話予約です。失活歯にアンレーが入っていましたが、メタルコアごとはずれていました。歯も一部欠けていましたので戻りません。感染根管処置の始まりにしました。4人目の方は抜歯後1か月で義歯の裏打ちやり直しです。これも技工用エンジンを使ってやれました。昨年末に入院先の病院へ往診したことを今日も感謝されました。開業以来の患者さんです。結構いろいろやれるなと考え直しました。昨日も一昨日も開けられたんじゃないかと。午後からはイオン菊陽に出かけました。地震で割れた手鏡と食料を買いに。2Lの水やお茶カップ麺などの棚は昨日と同じからっぽです。コスモス薬局に行っても同じような感じです。帰ってきてから急にいつ入荷するのか心配になってきて、たしかワイドマートにはまだあったと思って行ってみました。ここはたしか昨日から開いたのでまだ商品が残っていたと思ったのですが、2Lのお水とかもう1本もありません。少し高かったですが500mlを1ケースとカップ麺を12個2Lのお茶を4本買ってきました。水道の色のついた水は飲めないのだからしょうがないです。水の出ている所ではそろそろ診療開始しているとの情報が入ってきています。

熊本大地震D

2016.4.19(火)PM5:00昨日ダイレックスに並んでいた時、後ろから会話が聞こえてきました。「何に並んでいるんですか?」「いや、みんな並んでいるから。」今回よくわかったのは人が集まっている所には物があるということ。物がなければ人はすぐ立ち去ります。今日は水がまだ汚れているので診療ができなかったのですが、朝から歯科衛生士さんが一人出てきてくれました。自宅は大分片付きましたが診療室の片付けがまだ少し残っていました。今回ショックだったのは馬場元主将が手配してくれた開業祝いの時計が壊れたことです。1回目の地震では傾いたぐらいだったのが、2回目ので床にたたきつけられたようでバラバラになってしまいました。2回目の起きた1時25分で止まっていました。朝食料の買い出しにセブンイレブンに行っても商品がありません。あきらめて自宅に帰ろうとしていたら、セブンイレブンのマークのついたトラックを見かけあわてて追いかけました。弁当とおにぎりをゲットしました。午後からイオン菊陽店に行きました。水やペットボトルのお茶、カップ麺などほとんど売り切れになっていました。大分スーパーなど開くようになりました。日常に戻りつつあるようです。ガスはまだ使えません。

熊本大地震C

2016.4.18(月)PM4:00 昨日の5時頃試しに蛇口をひねってみたら水が出ました。これでなんとかトイレの問題は解決しました。良かった。ただ水の色が悪い。濁っています。明日になったら良くなるかなと思いながら翌日診療するつもりで寝ました。今日は早朝から水の色を見てみました。しばらく出してみてもやはり濁っています。これは駄目だわ。診療を断念しました。7時すぎにセブンイレブンに行ってみました。いつも空っぽの棚に数十個のおにぎりが。もう大丈夫なんだねと思って4個だけおにぎりを買いました。8時すぎからキャンセルの電話を入れてもらう。診療室のかたづけをしてスーパーの開く時間の10時ころから買い出しに行きました。マルショク武蔵ケ丘に100m程の行列ができていました。セブンイレブンに行っても棚は空。コスモス薬局光の森とマックスバリュー光の森は大混雑で入れない。他のコスモス薬局2店は閉店。何も買えなく帰宅。渋滞に何度も巻き込まれたので歩ける範囲でとローソンを見にいくと何もなし。Foodyoneで店頭販売。唐揚げと水を買いました。セブンイレブンにも何もなし。自宅に帰って昼食を取り、これはいかんともう一度出かけました。セブンイレブンに寄ると搬入車が止まっていました。ラッキーでした。お弁当おにぎりの他オリジナル商品何点か買えました。選び放題でした。食料はこれでしばらく大丈夫。あとは水を確保とダイレックス菊陽店に行ってみたら大行列。並びました。12時から18時まで開けるとのことです。水は一人3本まででしたが他にお茶のペットボトルやカップ麺豆腐等が買えました。もう明日からも開くような感じです。ガスはまだ止まったままですが何とかやってます。明日は朝起きてから風呂に水を貯めてみます。これが水の色が一番よくわかります。良ければ診療再開です。今日も「開いてますか?」と何件か問い合わせありました。あと安否を気遣うメールをいただいていますが、申し訳ありませんが個別には対応しきれていません。ここを見て状況を察して下さい。お願いします。

熊本大地震B

2016.4.17(日)PM3:00 4.16(土)の未明の揺れに驚いて近くの楠小学校のグランドに車を止めさせてもらって車で寝ました。明るくなってから戻ってきました。断水で診療できず、夕方に行列に並んでガソリンを入れ、近所のコンビニで阿蘇の天然水2L×6本1ケース確保。次から次に運び込まれていました。みんなケース買いです。1ケース600円でした。この日はガスも使えず食欲もなく、柿の種のようなものをつまみに飲んで自宅で寝ました。テレビでは楠小学校の体育館で1000人ぐらい避難とやっていました。選挙で何回も行っていますが、あそこに1000人は大変だろうと思います。

4.17(日)は朝早くから近所を車でグルグル回って開いてる店がないか捜しましたがコンビニも商品がぜんぜんありません。新聞は時間どうりにきていました。チラシの入っていたスーパー2店に開店時間前に行ってみましたが臨時休業のようです。たまたま商品があるかどうか入ってみたセブンイレブンに商品が搬入されるところで、カツカレーとチャーハン、おにぎり2個を確保。お店の人が「皆さんに行き渡るように、お弁当は一人2個ぐらいまでにして下さい。」と言っていました。糖質制限とも言っていられないなと。もう大丈夫かと思ってもあと何軒セブンイレブンに行っても商品なし。近所のローソンに人だかりがしているのを見つけたら2時間だけ開けますの張り紙が。おにぎり3個カップ麺5個を確保。女の子の控室から電気ポットを借りてきました。こんな感じでなんとかなるかなと。明日になればスーパーも開くかなと。ガスも水も止まったままです。

熊本大地震A

2016.4.16(土)

2016.4.16未明の揺れはすごかったです。4.14(木)の1.5倍ぐらいの勢いです。部屋がぐちゃぐちゃになりました。断水でとうとう診療も断念しました。電気が通っていて、テレビが見られるのがまだ救いです。食料を調達しようと昼前に近所を一周しましたが、ブロック塀がいろんなところで崩落していました。自動車販売店はショーウインドーが割れていました。コンビニもスーパーも全部臨時休業です。Foodyoneは店頭でミネラルウォーターを売っていました。駐車場が一杯だったのは避難している人みたいです。ガソリンスタンドが大行列でした。

熊本大地震のご報告@

2016.4.15(金)

 最大震度7ですから揺れました。今まで経験したことがないぐらい。9人亡くなって、4万4千人避難とのことですが、益城町とは車で30分10km以上離れていますので、見渡す限りには倒壊家屋とかはないようです。自宅では食器が大分割れました。ワイングラスのようなものは弱いですね。診療室でも積み上げていた本が崩れ、デンタルチェアーのアームが大きく振られた様で、薬瓶がいくつか落ちて、割れているのもありました。壁掛けの時計が傾いていて、改めて揺れの大きさを感じました。震度4ぐらいの余震があるのが気持ち悪いです。今も揺れました。いつもと同様に診療していますのでご心配なく。東京と神戸から安否を気遣う電話がありました。ありがとうございました。

聞く力

「キリカエ力(りょく)は、指導力 常識も理屈も吹っ飛ぶコーチング」平尾誠二監修、梧桐書院、2005

P32平尾誠二

 私が常々思うことのひとつに、「いかに聞く力をつけるか」という課題があります。話す力よりも、聞く力が必要なんです。どうしたら聞く力をつけられるか。私はその手段をいつも模索しています。

 現代人はどうも自分のことを話すのは上手でも、他人の話を聞く、理解するという力に乏しいように思います。

 かつての指導者は、自分の言いたいことだけを一方的に伝える傾向がありましたが、今はそれでは通用しません。まず、相手の真意を聞いてみること。あらゆる情報に耳を傾け、そのうえで何を言ったらいいのか選択していく。

 情報がどんどん蓄積されていけば、自然に外へ出ていくように、常に自分の頭の中でいろいろなことを考えていれば、言葉として出てくるものです。ところが、聞くという作業はそうはいきません。日常的に意識しながら人と会話し、訓練していく必要があります。日々、聞くための反射神経を鍛えていってほしいものです。

いいものを食べて、いいトレーニングをして、いっぱい寝なさい

週刊朝日 2016.3.18P112マリコのゲストコレクション 林真理子×原晋青山学院大学陸上競技部監督

林 (前略)(寮の廊下に積み上げられた段ボールを見て)これ、全部差し入れですか。すごい量ですね。米俵まである。

原 そうなんです。普段の食事は相模原キャンパスの食堂から運ばれるんですが、いただいたお肉やお米はうちの家内が調理して出しています。お米も大学の食堂とは味が違う (笑)。学生たちはゲンキンだから、普段よりたくさん食べてますよ。僕は食事制限についてはうるさく言わず、いいものを食べて、いいトレーニングをして、いっぱい寝なさいと言っています。

スポーツの上達にも睡眠が重要

「モテたい脳、モテない脳」澤口俊之×阿川佐和子、新潮文庫、平成17年

P63

澤口 睡眠は普通の記憶だけではなくて、運動記憶にもいいんです。スポーツでの身体の動かし方を覚えるとか、身体のバランス感覚を覚えるとか、そういう記憶に関しては、トレーニングしたあとに十分寝ないとだめだということがわかっています。

 たとえば、非常に難しい手の動きとかを覚えさせる実験をします。徹夜をして、もう一回やってもらった人と、ぐっすり寝てからやってもらった人とを比較してみると、マスターしている度合いがまったく違うんですね。

阿川 寝ると忘れそうな不安がありますが、試験前に徹夜で覚え込むよりも、短い時間にガーツと勉強して、十分に睡眠をとったほうがいいんですね。

澤口 勉強に関しては運動記憶ではありませんが、寝たほうがいいでしょうね。

記憶力を高める秘策

「モテたい脳、モテない脳」澤口俊之×阿川佐和子、新潮文庫、平成17年

P60

澤口 (前略)われわれは思った以上にいろいろなことを拾ってるんですよ。意識にのぼらない記憶というのがいっぱいあるんです。むしろ無意識の記憶のほうが多いぐらいです。

 でも、それをつねに意識していては脳がパンクしてしまうので、意味のある記憶だけをライブラリーに入れるようにしています。それを無意識に行うのが寝ているときなんです。そして、その記憶が意味があるかどうか、必要かどうかということを積極的に判断しているのが、海馬のすぐ前にある扁桃体です。扁桃体がよく働けば働くほど、海馬もよく働いて記憶に残ります。

 扁桃体というのは何をやっているかというと、感情に深く関係していて、快不快とか、感情的な価値判断をするといわれています。ですから、敵に襲われたときに、敵のことをよく覚えるというのは、扁桃体が敵かどうかを認識するからなんです。

阿川 海馬くんが、「これ、拾ってきたんだけど、どうしましょうかね」って扁桃体さんに聞くと、「これはいるわ、これはいらないわ、これはたいしたことないわ」って選別するんですね。

澤口 海馬でも選別はするんですが、とくに扁桃体は、情動との関係で選別します。怖がったりとか、うれしかったりとかですね。 記憶は海馬にニ、三週間、留まっていますが、非常に強い記憶はすぐに側頭葉に入れてしまいます。

阿川 強烈に印象に残るものは即、ライブラリーに入れるんですね。

澤口 ええ。しばらく様子を見て、いらないものは消してしまいます。だから、記憶力を高めたいなら、様子を見ている間に、もう一回思い出すといいんですよ。少なくとも一週間のうちに、もう一回同じことを認識したり、思い出す。すると消去されることなく、ライブラリーに入れてくれます。つまり、一週間以内に復習することで、記憶力がつくということです。

阿川 復習が大事だというのは、そういう理由があったんだ。じゃあ、今日、澤口先生に聞いたお話も、一週間後ぐらいにもう一度、思い出すことで私のライブラリーにしっかり入るんですね。  

澤口 入る確率が高くなります。ライブラリー、つまり側頭葉に一回、蓄えられたら、これは消えることはほとんどありません。もちろん忘れやすくなったりはしますけれども、海馬に留まっているときよりは、よっぽど確固たるものになりますから、だいたいは忘れないんです。

記憶の作り方

「モテたい脳、モテない脳」澤口俊之×阿川佐和子、新潮文庫、平成17年

P58

澤口 (前略)記憶の作り方から説明しましょう。

 新しいことを記憶することに関しては海馬がつかさどります。記憶を蓄える場所が側頭葉なら、記憶を作る場所は海馬なんです。ただし、新しい記憶というのは二週間ぐらいしか持ちません。まあ、何を覚えるかにもよりますけれども、平均して二週間ぐらいは海馬に蓄えられています。その後、いらないものは、そのまま忘却の彼方へ・・・・。

阿川 海馬でいったん保存するんですか、一時的に。机の上のまだ処理されていない保留ケースに入るわけですね。

澤口 そうです。いったんはケースに入ります。そこでいざ処理をして、いらないものは捨てて、必要なものは側頭葉に送って蓄えます。

阿川 海馬は図書館のカウンターみたいなものですね。とりあえず受け取って、必要なものにはラべルをつけて、ライブラリーに入れる。必要じゃないものは破棄処分扱いにする。

澤口 そうです。その選別を、私たちは眠っているときにしています。

阿川 え?ライブラリーの中に入れようか捨てようかということを、寝ているときにしているんですか。

澤口 とくに夢を見ているときなんです。夢というのは、いろいろな説がありますし、さまざまなことが起こるんですけれども、基本的に夢というのは、われわれが記憶を整理するときの”副産物”なんです。 いろんな夢を見ますけれども、見やすい夢というのは、今日とか、昨日起こったことを整理している感じなので、自分が今日やったことが出てきたりするんです。

「ありがとう」と「感謝」

「世界の大富豪2000人に学んだ幸せに成功する方法」トニー野中、総合法令出版、2012

P209

(前略)「ありがとう」と「感謝」という二つの言葉、実は魔法の言葉でもあるのです。この二つの言葉を誰よりも頻繁に使うのが、成幸者です。魔法の言葉と知っているからでしょう。この言葉を口にすると自然と良いことが起きると、皆が口を揃えて言います。

 きっと成幸の女神様が最も気に入っている言葉なのではないでしょうか。

 このことを知った途端に、「ありがとう」を連呼する人が決まって現れます。中には空に向かって、まるで呪文のように唱える人もいます。

 「ありがとう」と口にする行為そのものは間違っていないとは思うのですが、一つだけわかっておいた方が良いことがあります。

 それは、「ありがとう」と「感謝」は、必ずしも同義語(=イコール)ではないということです。「ありがとう」と口では言っていても、そこに感謝の気持ちが含まれているかどうかは別です。

 人に何かをしてもらって口癖のように「ありがとう」と言っても、心で「それが君の仕事なんだからやってくれて当然だよ」という気持ちがあれば、この「ありがとう」という言葉には何の意味も持たないことになります。

 だから、「ありがとう」という言葉を使うときは、そこに本当の感謝の気持ちがあるのかをしっかり確かめてから使うことをお勧めします。

力を貯めるな、出せ

「キリカエ力(りょく)は、指導力 常識も理屈も吹っ飛ぶコーチング」平尾誠二監修、梧桐書院、2005

P36平尾誠二

 山口先生(院長註:山口良治元伏見工業ラグビー部監督)が怒るときは、ある程度決まっていて、試合における考え方、作法についてはとても厳しい人でした。

 例えば試合をしていて、前半に大量点を奪って完全にリードしているとします。こうなると勝利が見えていますから、後半どうしても手を抜いてしまう。すると先生はめちゃくちゃに怒るのです。「相手に失礼じゃないか、その態度はなんだ!」「常に全力を出せ。これが一番重要なことなんだ」と。

 何度聞かされたかわかりません。先生が言いたかったのは、「力は貯金できないんだ」ということ。 今日持っている力が一〇として、今日のゲームでその一〇を全部出し切れば、明日は一〇・〇一になる。一〇・〇一をまた次の日に全力で出すと、翌日には一〇・〇二くらいになる。力はそうやって増やすものだと。

 逆に、相手がたいしたことがないからといって、力を七しか出さなかったら、一〇あった力が九・五になり、また次の相手が弱いからと力を出さなかったら、さらに力は下がる。だから、常に全力を出してやれと言うのです。

 この考え方をしてみたとき、正反対でおもしろいのがお金です。お金を増やしたいと思ったら、使わないで貯金すればいいんです。もし平気でどんどん使ったら、お金はなくなってしまいます。人間の力はその逆で、使わなければ減っていく。相対するものが人とお金なのです。「力を貯めるな、出せ。そうでないと、人は大きくならない」。その言葉は、ずっと頭から離れることなく、今も私の中に残っています。

歯胚分割

 業界誌を見ていると歯学部長の森山教授らのグループが歯胚を分割して歯を増やす技術を開発したと出ていました。新たな歯科再生医療に期待が集まるとのことです。

 実験ではマウスの歯胚をナイロン糸で結紮し、一つの歯胚を二分割し、分割した歯胚が正常な歯に育つかを実験したところ、それぞれに天然の歯と同等の構造を持つ歯ができたそうです。

 こんな単純なこと(失礼!)なんで今まで誰も思いつかなかったのか。iPS細胞はシートには簡単にできるが、立体構造を作るのはまだ難しいと言われています。この方法が可能であれば、iPS細胞なんかもういらない(言い過ぎか?)。少なくとも本当の歯を作るということに関してはiPS細胞より一気に現実のものとなります。

 興味あるのは何分割まで可能かということ。受精卵は四分割までならちゃんと育つということですからそのあたりが限界でしょうか?

 どういうことが可能になるかというと、親知らずを歯胚のうちに取り出して凍結保存する。歯を作りたい時に分割して植え込む。歯の形は「場の理論」により歯胚が勝手に作ってくれる。とんでもない発表です。どんなすごいことかマスコミはまだ気づいていないのでしょう。(完成した歯の凍結保存はよく聞きますが、歯胚の凍結保存は聞いたことありません。活性が取り戻せるのかそのあたりが疑問ですが、何か因子を入れて活性を取り戻せるパターンになりそうです。)

 生物って不思議ですね。そして森山教授がまたいい仕事をしました、すごいなぁ。彼にスタンディング・オベーションです。

失敗なくして成功した人は例外なく早死する

「世界の大富豪2000人に学んだ幸せに成功する方法」トニー野中、総合法令出版、2012

P212

 私は占い師で成幸者と呼べる方、数人にお会いしたことがあります。

 なぜか占い師と言うと、女性のイメージが強くあります。実際にみても、女性の占い師の方が多いのは事実でしょう。しかし、私が会った占い師は男性が3人で、女性は1人でした。

 占い師の話になると、よく出てくる話は、

 「もし占い師が本当に未来のことがわかるのであれば、金融経済界の動向を先読みして、お金持ちに簡単になれるはずなのに、テしビで見る一部の人以外に巨万の富を作っているという占い師など聞いたことがない。だから、インチキに決まっている」 とまあ、このような内容です。みなさんのまわりにもこう言う人はいるでしょう。

 しかし、実はというと、みなさんが想像しているよりも、占い師で成幸者になれた方は大勢いるのです。

 では、なぜ知られていないのか。

 それは、成幸した占い師というのは決して表舞台には出てこないからです。目立たない場所で目立たないようにひっそりと活動しています。

 そして、このような成幸している占い師は一般の人を占うことはありません。ほとんど限られた成幸者、またはその成幸者から紹介を受けたごく一部の人しか占いません。それも、占ってもらうまでに、半年や1年も待たされるなんていうのもざらにあります。

 それだけ待たされても占ってもらいたいと思う成幸者が後を絶たないのは、その占いがよく当たる何よりの証拠でしょう。

 そんな、自分白身も成幸者である占い師は言います。

 失敗なくして成功した人は例外なく早死する、と。

 もちろん、これは科学や理論で説明できることではありませんが、成幸者の占い師は断言するのです。成功には必ず失敗がつきものであり、逆に失敗のない成功は大きな代償を後から払わなければならない定めだということでしょうか。

 太く短く・・・・・。失敗なき成功の人生とは、そういうものなのでしょうか。

緊張感というのは実は自分でつくっているもの

「キリカエ力(りょく)は、指導力 常識も理屈も吹っ飛ぶコーチング」平尾誠二監修、梧桐書院、2005

P43平尾誠二

緊張感というのは

実は自分でつくっているもの。

そこに気づくと克服できる

 「緊張感」の克服法。その明確な回答があったなら、誰もがとてもラクになると思います。でも、それがないから苦労する。熟練者になると「緊張感さえも楽しめる」などと言いますが、そんなことをいきなりできる人間はいません。中学生が「緊張感を楽しんでます」などと言ったら、そいつはちょっと変だぞということになる。

 普通はまず、緊張感に打ちのめされるのです。思ったように力が出せずに手足がかじかんでしまうとか、あらぬことをやってしまうとか。みんなそのような辛い経験をして、緊張感という見えないものに立ち向かっていくのだと思います。

 私もご多分に漏れず、高校一、二年生の頃は思い切り緊張しました。余計なことを考えてしまい、プレーがまるでうまくいかない。でもそのうち、どんなときに何を考えたらいいのかわかってきます。私の場合は、高校三年生になったくらいから、実感としてそれがありました。

 というのも、ある程度の時間がたつと、実は緊張感というのは「自分でつくっている」ということに気づくのです。私はどうにもならない緊張で右往左往したとき、緊張感がどこから来たのかを考え、その元をたどったら、自分でつくっていたことに気づきました。ならば、自分次第でどうにでも開き直れるんだなと。

 例えば、多くの観衆を前にして、「うまくやってやろう」「カッコよくやりたい」などと意識する。この「うまくやろう」とするのがまずいけません。いつもの自分、いつものペースを心がけるべきです。

 普段通り、そして開き直ってやるには、やはり繰り返しの練習が大切です。ラグビーなら、パスが苦手な選手はパス練習を何度も繰り返す。そのうち練習であればほとんどうまくいくようになります。そして、繰り返しの練習で何を得られるかといえば、「自信」です。そのうちパスに対して何とも思わなくなり、精神的にも克服されていく。

 要は、どういうときに何を考えるべきなのか。考えなければいけないことがだんだんと整理されてくることで、本番であれこれ迷うこともなく、緊張感から遠ざかれる、克服できるのではないかと思います。過去にいろいろな経験をした中で、私も自然にそれがわかってきました。

 熟練者になると「緊張感も楽しめる」というのは、そんな理由から生まれるのだなと理解しています。

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