宅配便の皆さんへ

週刊文春2017.6.8P126阿川佐和子のこの人に会いたい 横田増生(ジャーナリスト)

(院長註:アマゾンに代表されるネット通販の普及と送料無料が当たり前になり、即日配送のサービスも始まり、労働条件が悪化しているにも関わらず、お客さんに「馬鹿野郎」「遅れやがって」とか言葉をかけられることがあるそうです。実は院長大学1年の夏休みに1か月佐川急便でアルバイトした経験があります。きつかったけれどお給料は良かった覚えがあります。ずいぶん条件が悪くなったようですね。)

一筆御礼

 横田さんの切実かつ詳細な現場報告を伺って、私は真剣に宅配と向き合うことを決めました。宅配の送料無料はもう望みません。時間指定を軽い気持で書き込むのはやめます。即日配送にウキウキしていた自分を叱りつけました。そして、いちばん心がけるべきは、宅配ドライバーのおにいちゃんおねえちゃんおじさんおばさんに対し、いかに我が顔がスッピンであろうとも、頭にカーラーを巻いていようとも、ちゃんと目を合わせ、「どうもありがとうございました!」とお礼を言い、ときにペットボトルのお水(新品です)や食べそびれたお菓子(賞味期限内)やおせんべい(湿気てないヤツ)などがあったらそっと手渡して、「道中、お気をつけてね」と送り出すことを誓います。だって、どんなに落ち込んでいるときも、誰にも会いたくないと思っている日でも、必ず笑顔でピンポンを鳴らしてくれるのは、唯一宅配便の人なんですから。大事にしないとバチがあたります。

ミスをするよりも、してはいけないこと

「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」文春新書、2017

P62羽生善治(将棋棋士)

ミスをするよりも、してはいけないこと

 人間は、誰でもミスをするものです。ですから挑戦をしていくときに大切なのは、ミスをしないこと以上に、ミスをした後にミスを重ねて傷を深くしない、挽回できない状況にしないことだと思っています。

 ところが、実際はミスの後にミスを重ねてしまうことが多い。どうしてそうなってしまうかというと、動揺して冷静さや客観性、中立的な視点を失ってしまうことが理由のひとつでしょう。

 ですから、私は一息つくということが、とても大事なことだと思います。例えばちょっとお茶を飲んで一服するとか、外の景色を眺めるとか、おやつを食べるとか。ごく短い時間でいい。小休止によって、ミスを重ねることを防げるようになります。

 もうひとつ、ミスにミスを重ねてしまう理由として、「その時点から見る」という視点が欠けてしまうことがあると思います。

 将棋でいえば、先の手を考えていくときには、過去から現在、未来に向かって一つの流れに乗っていることが大切になってきます。「こういうやり方でいこう」とプランを立てたら、その道筋が時系列でちゃんと理屈が通っていて、一貫性があるのがいい。ところがミスをすると、それまで積み重ねてきたプランや方針が、すべて崩れた状態になるわけです。                                                    すでに崩れてしまったのですから、それまでの方針は一切通用しない。そのときやらなくてはいけないのは、「今、初めてその局面に出会ったのだとしたら」という視点で、どう対応すればよいかを考えることです。それが、「その時点から見る」ということです。

 実際の対局では、ミスをすると、ついついその場で反省と検証を始めてしまいがちです。もちろん、同じミスを繰り返さないために反省と検証は大切です。でもそれは、対局が終わってからでいい。ミスをした直後には、とにかく状況を挽回し、打開するために、その盤面に集中しないといけない。「こうしておけばよかった」などと過去に引きずられずに、「自分の将棋は次の一手からはじまる」と、その場に集中していくことです。これはもう本当に、意識的にやらなければうまくできないことだと思います。

山中伸弥×永田和宏 対談を終えて

「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」文春新書、2017

P57

■対談を終えて(院長註:永田和宏さんが書いています。京都産業大学タンパク質動態研究所所長、京大名誉教授、歌人)

 「マイ・チャレンジ」は、京都産業大学の神山ホールで行われているが、第一回のゲストに山中伸弥博士を迎えるという情報が流れると、すぐに申し込みが殺到し、募集は途中で打ち切らざるを得なくなった。当日は千四百席では足りず、本学教職員には別の部屋でモニターを見ていただくことになってしまった。

 このシリーズの基本コンセプトは、こんなに偉い人でも自分だちと同じじゃないかと、特に若い人たちに気づいて欲しいというところにある。そこで、成功体験よりは、より失敗談を語ってくださいとお願いしている。しかし、山中さんの場合は、どんな失敗談を語っても、その失敗自体が逆にかっこよく聞こえてしまうところが問題。そこで一計を案じ、事前に奥様の知佳さんとひそかに連絡を取り、二人で山中伸弥をぎゃふんと言わせるプロジェクト、通称ぎゃふんプロジェク卜を立ち上げた。知佳さんから秘密情報を入手して、舞台でぎゃふんと言わせようという企みである。

 打ち合わせのため前日に電話をしたら、知佳さんの声がひそひそ声である。なんと、その日山中さんは高熱を出して早く帰り、いま隣の部屋で休んでいるとのこと。武士の情けで当日「ぎゃふん」は中止したが、風邪をおして講演と対談をこなしてくれた山中さんは、やっぱり爽やかでかっこよかったのである。

もう演じるってことをやめたらいいんじゃないか

週刊朝日2017.5.19P32岡田准一インタビュー

ーーこの作品の撮影を通じて岡田さんのなかにもいろんな変化が生まれたと伺いました。

 降旗康男監督に木村大作キャメラマンというすごい現場で、本当にいい経験をさせていただきました。撮影が終わったときに大作さんから、「そろそろお前は、もう演じるっていうことをやめたらいいんじゃないか」って言われたんです。それまで僕は、「がんばって役を演じる。役になりきる」ことに力を注いできたんですが、人間の姿を撮り続けてきた方にそう言われて、考えさせられるものがありました。”がんばる”ってことに美しさを感じている自分がいるんですが、これからはいい意味で力を抜いていくことも必要なんじゃないかと。もちろん役柄や現場によって求められることも違いますが、もしかしたら今後、自分の芝居が変わるんじゃないかって感じています。

−−変わりたいという思いがあるのでしょうか?

 あります。「仕事はがんばるもの」「役は演じるもの」というスタンスでずっと仕事をしてきたけれど、もっと自分のなかから出てくるものをさらけ出すことによって、違う役柄に出会える可能性があるのかなと思いました。性格的なものもあるので、難しいのですが。たとえば勝新太郎さんは、撮影で国宝級のキセルを手にして、それを芝居中にバーンとたたき壊したという伝説があるんですよ(笑)。芝居となったら、そこまでできてしまう。でも僕は、そういうものを大事に扱ってしまうタイプなんです。

佐賀・西光寺

週刊朝日2017.5.19P115司馬遼太郎と宗教

(院長註:義父の先祖のお墓がある寺です。家内も駐車場で「暑かですな。」と話しかけられてびっくりしたと言っていました。)

 キリスト教への信仰のゆらぎもあり、日本で僧侶となったニュージーランド人がいる。浄土宗「西光寺」(佐賀県)の僧侶、作田スティーブン法道さんだ。

 「これまでも日系の方はいらっしゃいますが、浄土宗で目の青いお坊さんは私ぐらいのようです(笑)」

 186センチの長身で坊主頭に袈裟姿がよく似合う。ニュージーランドでのラグビーのポジションはバックスだったが、高校時代に日本留学するとフォワード(ロック)になった。

 「私の家はとても厳しいキリスト教徒で、飛び出るように日本に来ました。大阪で暮らしましたが、ホストファミリーがすごくいい人たちで、家の隣が浄土宗のお寺でした。厳しいキリスト教しか知らず、日本の大らかな浄土宗を知ります。本当の意味での宗教の自由を感じました」

 1年間の留学から帰国し、大学に通っているときに日本人女性と恋に落ちる。それがたまたま西光寺の長女だった。

 「あるとき電話が鳴り、お義父さんから『お寺に入ってくれといわれたらどうする?』と聞かれ、深く考えずに『入ります』と答えました。自分でも驚きましたが、後で考えると、心のどこかで信仰にかかわる仕事がしたかったのだと思います。奥さんと相談せずに即答したので、えらい怒られちゃったんですが(笑)」

 その後、知恩院などで修行を重ねて僧侶となっている。

 ユーモアをまじえた流暢な日本語で語るスティーブンさんだが、宗教と人生が直結した家庭で生まれ育ったようだ。父は会計士として教会の仕事をし、母は教会でピアノを弾くことで生活。毎週5日は教会に通い、聖書を読み、賛美歌を歌う。読む本も見るテレビも父の許しが必要だった。

 「若いころはイギリスにも留学してキリスト教を勉強し、教会をもちたいと思った時期もありました。でも、一生懸命になればなるほど疑問が湧く。答えを見つけようとしたけど、まさに神は”沈黙”です。大きな疑問は『天国と地獄』。地獄は永遠の罪で、いまのこの命よりもっと重大なものです。ただ、自分はキリスト教徒の父母の家に生まれたからキリスト教徒で、その偶然で天国に行く。もし仏教やイスラム教の国に生まれていたら永遠の地獄行きというのは納得できませんでした」

 いまは法然のシンプルな教えに身をゆだねている。浄土宗の僧侶たちでつくる勉強会で、潜伏キリシタンを学んだり、死生観について語り合ってもいる。

 「私の神も厳しい父親のようなゴッドから、母親のように優しい阿弥陀様に変わってきました。しかし大きな違いがあるようには思えません」

 静かなお寺で、宗教そのものへのチャレンジャーに会った。

(院長註:前回のラグビーワールドカップ日本代表の主将だったリーチ・マイケル選手を思い出しました。先日熊本で行われたルーマニアとのテストマッチでもトライを決めてました。外見から外人の助っ人選手と思われがちですが、彼は15歳の時に来日し、札幌山の手高校、東海大、東芝とラグビー選手としての経歴はほとんど日本で作られたものです。奥さんも日本人です。)

1日2万1600回の呼吸、吸うより吐く方に気持ちを込める

週刊朝日2017.5.5-12帯津良一の貝原益軒 養生訓

「呼吸は人の生気也。呼吸なければ死す」

 まさにこの通りです。呼吸は生物が外界から酸素を取り入れ、二酸化炭素を放出するための生理現象で、生命維持に欠かせません。これを人は「おぎゃあ」と生まれたときから四六時中、無意識に行っています。平均すると1分間に約15回、1日に2万1600回です。

 この無意識に繰り返している呼吸を意識的に行うことで、「呼吸法」になるのです。通常は無意識下の呼吸を意思の力でコントロールすることができる。これが養生にとって呼吸法が重要であるポイントです。呼吸法が身につくと、1日2万1600回の呼吸が変わってきます。寝ている間の呼吸さえも変化すると、私は思っているのです。

 気功、ヨガ、座禅など、いずれもベースは呼吸法です。今でこそ、呼吸法の大切さが知られてきましたが、益軒は江戸時代に着目しているのですからさすがです。さらに、具体的に呼吸の方法を説いています。

 「これを行うときには、身を正しく上向きに寝て、足をのばし、目をふさぎ、手をにぎりかため、両足の間を5寸(約15センチ)にして、両肘と体との間も5寸にする。一昼夜の間に一、二度行う。長くやれば、効果が出る」

 これは臨済宗の中興の祖といわれる白隠禅師が説いた「内観の法」の原型といえます。50年ほど後輩の白隠禅師は、益軒の教えを踏まえて優れた気功健康法である「内観の法」を生み出したのでしょう。

「上向きに寝て、両足を伸ばし強く踏み揃え、体中の元気を臍輪気海丹田(さいりんきかいたんでん、へそとその下)、腰脚足心(ようきゃくそくしん、腰と足)に充たすようにする」のが「内観の法」です。これを吐く息に気持ちを込めながら行います。肩の力を十分に抜いて、下半身を充実させるのです。内なる生命が集約される気海丹田に意識を集中させます。

 丹田については益軒も「常の呼吸のいきは、ゆるやかにして、深く丹田に入(いる)べし。急なるべからず」と説いています。ただ白隠と違い益軒は天地から気を取り入れるという考えから、吸う息を重視していました。今日の呼吸法は東洋であっても、英国のスピリチュアルヒーリングであっても、「呼主吸従」といって吐く息が中心です。

 吸う息に気持ちを込めると、自律神経のうち生体を活動的にする交感神経が優位に働きます。反対に吐く息に気持ちを込めると生体を沈静化する副交感神経が優位に働くのです。

 ストレスの多い情報化社会で生活していると、常に交感神経が先に行ってしまい、副交感神経は置いてきぼりをくっています。そういうアンバランスを、吐く息が副交感神経を引き上げることで正してくれます。

 もうひとつ、吐く息では呼気と一緒に体の中のゴミが外に出されるのですから、体内の生命の秩序を高めることになります

 意識的に呼吸をするときは、吐く息に気持ちを込めた方がいいのです。是非、試してみてください。

平成29年6月10日(土)熊本でラグビーのテストマッチがありました。

熊本テストマッチ予告.jpg平成29年6月10日(土)に熊本でラグビーの国際テストマッチ対ルーマニア戦がありました。

熊本地震復興支援だそうです。ありがとうございます。

光の森からえがお健康スタジアムにシャトルバスが出ているようで、午前11時頃光の森への道が結構混んでいるようでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熊本テストマッチ結果.jpg結果は日本が33対21で勝ちました。

診療時間だったので、院長は後で録画観戦です。インターネットで速報だけは時々見ていました。

18000人の観衆だそうです。録画では結構入っているように見えましたが、スタジアムの収容人員は32000人だそうです。

(左は熊本日日新聞平成29年6月11日(日)の朝刊1面です。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

振り子の原理

週刊文春2017.4.27P138阿川佐和子のこの人に会いたい 女優久本雅美

久本 (前略)でもここまで続けられたのは喰始が私を信じ続けてくれたことが大きいですね。私も柴田さんもそうですけど、鳴かず飛ばずの不器用な役者は、辞めたいとは思わないまでも、才能がないんじゃないかと考えるときはある。そんなときでも常に「面白い、面白い」と言ってくれた。もうひとつは、人と比べなくていいんだなと思えたときに楽になりましたね。昔は一緒に舞台をやる中で柴田さんが羨ましくてしょうがなかったんですよ。

阿川 え!! 柴田さんに対するコンプレックスがあったんですか?意外!

久本 柴田さんのほうが圧倒的にキャラがありますから。でもあるとき「自分にないものは出ないんだな」と気づく瞬間があって、自分らしさを大切にしようと決めたんです……。そうすると、私は下ネタのほうにいってしまったんですけど(笑)。

阿川 ハハハ。女性が下ネタをどこまでやるのかって難しいですよね。しかも、久本さんの場合は美人だし。

久本「WAHAHA本舗の原田知世」と言われてましたから。

阿川 アハハハハ(爆笑)。

久本 そこで一番笑うんかい!(笑)でも、WAHAHA本舗でも最初は可愛い役柄が多く、殼を破りたいと思ってたときに”オカルト二人羽織”でそのイメージを崩すことができたんです。あと、下ネタで気を付けているのは、生々しすぎると笑えなくなること。三十年近く前、山藤章二さんが雑誌で「久本の下ネタは乾いたウンコみたいだ」と書いてくださって。これは励みになりましたね〜。

阿川 乾いたウンコ?

久本 要するに生々しくない、リアルじゃないから笑えるって。

阿川 そんなに臭いもきつくないし(笑)。

久本 そこまで分析する?(笑)でもまだまだお笑いに関して悩むところはあって、四、五年前に(ビート)たけしさんに相談したことがあるんです。

阿川 たけしさんに? 何て?

久本「女性のお笑いにとって何が一番大事ですか」つて。すると「うーん、そうだなあ。ま、振り子の原理だな」とおっしゃったんです。

阿川 振り子の原理?

久本「女であることを忘れないこと、女を捨てること、この振れ幅が大きければ大きいほど面白いんだろうな」って。

阿川 へえ!!

久本 やっぱり、たけしさんはすごいよねー。女を捨てなきゃいけないときもあるけど、女であることも忘れちゃいけない。これは自分の中で大切な指針にしなきゃいけないなと思いました。

もう銀行でお金を借りてはいけない

週刊朝日2017.6.2P116

「少し」のつもりが多重債務に

メガも地銀も拡大、膨らむ貸付額

現役営業マンが実情を告白

銀行カードローンの病魔

 

消費者金融が年収の3分の1までしかお金を貸せず、銀行はいくらでも貸せる。個人に無担保・無目的で貸す銀行の「カードローン」で、おかしなルールがまかり通っている。10%超の高金利が多く、多重債務の新たな温床になりかねない。

 

 5月17日、記者は東京都内のATMに入った。バサバサッという音とともにはき出された札束は計50万円。三菱東京UFJ銀行のカードローン「バンクイック」で、簡単な申し込み手続きですぐに借りられた。

 つかの間、お金持ち気分を味わえるが、金利は年10.6%。月々の返済額1万円のうち、4千円超が金利で引かれる計算だ。

 多重債務を抱える自殺者が相次ぐなどしたため、消費者金融を規制する貸金業法は2006年に改正された。総額で年収の3分の1までしか貸せない「総量規制」だ。テレビCMの本数や広告表現も、厳しい審査や承認が義務づけられる。

 しかし、銀行は銀行法の規制下で、貸金業法が適用されない。いくらでも貸せるし、CMも好きなだけ流せる。

 貸金業法の改正当時、銀行がカードローンで貸す相手はもっぱら口座を持つ顧客だった。それならば、お金の出入りを把握し、返済能力も見極められそうだ。

 しかし、日本銀行による金融緩和策で、事情が変わった。歴史的な低金利が続き、銀行は通常の貸し出しでは収益を稼ぎにくく、厳しい経営環境にある。カードローンは高金利で収益性の高い「成長株」となり、銀行は「一見客」にも積極的に売り込みだした。

 社会的な信用が高いため、銀行だと借りる側にも安心感が出る。銀行全体の貸出額は16年度末で5.6兆円と、5年間で一気に約1.7倍に増えた。消費者金融など貸金業者の約4兆円を大きく上回る

 その数字の裏で、いったい何か起きているのか。

 「最初に借りたときは助かったなあ、と心の底から思いましたよ。でも、借りるのはすごく簡単なのに、その後は返しても返しても返済が続く。いつまでも借金から抜け出せない。今ではバカだった、と思います」

 こう語るのは、自己破産を1月に申請した東京都内の男性(57)。13年秋、母のがん治療費などで計100万円超の借金を抱えるなか、返済がきつくなってローンに手をつけた。

 男性の手取りは当時月二十数万円。最初はおそるおそる、ネット銀行に10万円だけ申し込んだ。すぐに50万円の融資可能枠がついた。急に気持ちが大きくなり、外食などに使うようになる。キャンペーンをうたって融資枠も広がり、半年後にはこの銀行だけで借金は200万円超に膨らんだ。

  男性は仕事によるけがの後遺症があり、障害年金の受給資格があった。母の治療費も都道府県の社会福祉協議会の低利の貸付制度などで借りられた可能性もあった。ただ、それに気づかなかった。債務整理にあたつた森川清弁護士は悔やむ.。

「医療費や生活費で本当に困った人には社会福祉協議会などの支援制度があるのに、そこへたどり着く前に銀行で借りてしまう。そして、後戻りできなくなる人が多い。銀行が貸さなければ、ギャンブルなどに無駄遣いできず、破産せずに済む人も少なくないと思います」

 埼玉県の50代男性は「宝くじに当たった」との詐欺メールにひっかかり、情報料名目で800万円もだまし取られた。病気で仕事を辞めた直後の3年前のこと。もらったばかりの退職金に加え、ネット銀行で借りた500万円を充てた。

 多額の借金を抱えたことが妻にばれ、離婚して家族も失った。日雇いバイトなどで2年近く利息を払っていたが、ついに首が回らなくなり、1月に自己破産を申し立てた。「仕事を失って精神的に追い詰められ、まともな判断ができていませんでした」と振り返る。

 別の40代男性はある日、どこで番号を知ったのか、取引のない地方銀行から電話が来た。当時、複数の金融機関からの借金が計1千万円前後に膨らんでいた。電話で勧められたのが、複数の借金を一本化する「おまとめローン」。年利10%で1千万円借り、他の借金はいったん完済できた。

 男性の年収は当時800万円。好きだった競馬をやめられず、この地銀はわずか3ヵ月間でさらに計500万円も上乗せして貸し込んだ。他の銀行も続々と貸し付けを増やし、借金はたちまち2600万円超に。男性の個人再生手続きをした三上理弁護士は「銀行が返済能力をまともに審査したとは思えない」と話す。

批判高まるも規制の動きなく

 朝日新聞が全国銀行協会の正会員120行にアンケートしたところ、計80行が年収の3分1超を貸し、うち19行が年収を超えて貸すことがあると答えた。

 では、消費者金融と同様に、銀行も貸付額を年収の3分の1以下に規制されると困るのか。規制の是非を問うと、最も多い答えは「わからない」で44行だった。

 生活費や医療費が必要な低所得者や高齢者にも、お金を貸すときは高金利だ。ギャンブルなど遊興費に充てる借り手もいる。そんな実態も踏まえ、「貸し手としての責任を果たしていない」との匿名コメントを寄せた銀行もあった。

 実は、年収の3分の1以下しか貸せない消費者金融などの貸金業者も、カードローンを裏で支える立役者。たいていは保証がつくことが利用条件のため、貸金業者の審査を受ける必要がある。銀行は保証料を貸金業者に払い、利用者が返せないと貸金業者が肩代わりする。銀行は損をせず、貸金業者も収益を得られる。

 急拡大したローンに社会的な批判が高まり、全銀協は貸しすぎを防ぐよう会員行に呼びかけている。金融庁は、今のところ規制を強化する気はなさそうで、業界の動きを見守るのみだ。

 東北地方の金融機関で働く営業マンは最近、上司から新たな「ノルマ」を割り当てられた。カードローンロ座の新規契約を倍増させることだ。各支店で発破をかけられているという。

 「ふつうの人は、わざわざカードローンの口座を作ろうなんて思わないでしょ?本気で契約を取るには、借金を抱える人をリサーチして売り込むしかない。良心の呵責はありますが、何しろノルマがあるので……」

 借りるのは簡単でも、借金地獄から抜け出すのは難しい。自己破産した人たちの姿が、そのことを身をもって示している。

朝日新聞経済部・藤田知也

(院長註:グラフと欄外は省略しました。テレビCMの「〇〇銀行カードローン」の歌詞が耳にこびりついています。)

皿を割ることを恐れるな

週刊文春2017.4.6P172阿川佐和子のこの人に会いたい 熊本県知事 蒲島郁夫

蒲島 震災で空港が傷んだんですけど、民間の力を借りてよりよい姿に復興したいと思っています。あと、八代港はアメリカのロイヤル・カリビアン・クルーズ社の投資により、クルーズ船の母港化にも取り組むなど、創造的復興を進めます。私のモットーは「逆境の中にこそ夢がある」なので、地震があったからこそ、これが出来たというものを造りたい。とはいえ、それは私だけが考えていても意味がない。職員が共有してくれていることが重要です。

阿川 共有してもらうためにはどうすればいいんですか?

蒲島 私はいつも職員に「皿を割ることを恐れるな」と言ってるんです。リスクを恐れず挑戦しようということですね。お皿を多く洗っていたら、割ってしまうこともあるでしょう?

阿川 でも、元々お役所というところは前例主義でしょ?

蒲島 私も最初に来たときは、保守的な組織で驚きました。だからこそ、トップが失敗してもいいと言わなきゃいけない。そうすることで職員も安心して、「知事も『皿を割ることを恐れるな』と言ってるんですから」と上司に立ち向かうこともできる。私自身、副知事に言わせると「怒りの遺伝子がない」そうで、知事になって一度も怒ったことがない性格というのも職員がのびのびやれている理由かもしれません。

阿川 えー! 怒ったことがないんですか!?

蒲島 ないんですよ。やはり組織ですから、一人では仕事はできない。私の考えを共有してもらうことが大事で、そのためには怒らず、褒めるようにしています。県庁全体がやる気になるようにするのが私の役目ですよね。

阿川 そんな風にして三期目をお務め中で、これだけの災害に対しても采配を振るわれた。知事といいますか、トップとして必要なことは、褒めること以外にはなんだとお考えですか?

蒲島 まずは動じないこと、次に明るく存在することですよね。(笑顔で)トップはどんなときでも明るくないといけません。

ギャップ仮説

阿川佐和子さんが熊本に来てくれたそうです。熊本県知事は元東大教授の政治学者。松下政経塾でも教えておられたので院長の兄の先生でもあります。鳥インフルの時に「初動が肝心」と県職員に徹底させ株をあげました。知事が県立大理事長に招聘した五百旗頭先生は阪神淡路大震災で家が全壊した経験を持ち、かつ東日本大震災復興構想会議の議長もされた方だそうです。二人は安心して見ていられます。

週刊文春2017.4.6P170阿川佐和子のこの人に会いたい 熊本県知事 蒲島郁夫

蒲島 高校卒業後、農協に入って二年間働き、二十一歳のときに農業研修生としてアメリカに渡ったんですが、朝早くから夜遅くまで大変な肉体労働の生活でした。ただ、研修中三ヵ月、ネブラスカ大学で学ぶ機会があって、「勉強とはこんなに楽なんだ」とそこで気づかされまして。

阿川 肉体労働に比べれば。

蒲島 はい(笑)。その後、一度日本に帰って旅費を貯め、ネブラスカ大学に戻って、豚の精子の研究をするんです。指導教官から「大学に残れ」と言っていただいたんですが、子供の頃に持っていた「政治家になりたい」という夢を思い出して、ハーバード大学で一から政治学を学びました。

阿川 その後、帰国されて筑波大学、東京大学で教鞭をとられて。

蒲島 ええ。ハーバード大学で研究していたときの恩師が、サミュエル・ハンティントンという有名な人で、彼は”ギャップ仮説”というものを提唱したんですが、私はそれに沿って災害対応してるんです。

阿川 ギャップ仮説?

蒲島 式にすると、分母が「実態十展望」、分子が「期待値」です。この値が大きくなればなるほど不満が出てくる。

阿川 うん? 先生、なんですって?わかんないっす。

蒲島 つまり、期待値が、実態十展望より大きくなると、人は不満を感じるようになるんです。災害対応に当てはめると、まず人命救助の段階だと「生きててよかった」となるけれども、次の日には水、食料と期待が高まりますよね?

阿川 そのあとは「あったかいものが食べたい」とか、「もっとおいしいものが食べたい」とか。

蒲島 そう。住まいも、最初は避難所に入れるだけでも幸せだけど、時間が経つにつれて徐々に快適性を追求するようになる。その期待値に実態なり展望がついてこないと、不満だけじゃなく、最終的には暴動になるというのがハンティントンの理論なんです。

阿川 面白〜い!

蒲島 そうならないようにするのが政治家ですから。だからどんどん実態や展望を作っていかなきゃいけない。

阿川 期待が大きくなりそうなタイミングに合わせてですか?

蒲島 それよりもずっと先回り、です。有識者会議にしろ、熊本城にしろ、誰もそこに期待していないタイミングにとにかく実態を作らなきゃいけない。もちろんすぐに実態を作れないときもあるから、そのときは展望を示さなきゃいけないんです。

阿川 周りがそこまで気が回っていない段階でも、トップは見て、決断して、行動しなければならないと。

蒲島 はい。私は政治学を勉強していてよかったなと思うんですよ。世の中の人は政治学者がいい政治家になるはずがないと思ってるでしょうけど(笑)。

阿川 ハイ! 失礼ながら思ってます。どうせ机上の空論じゃないかって。

蒲島 それが役に立つんですよ(笑)。ソクラテスの言葉に、「政治家やその志望者のなかには、政治というものは非常に習得が困難であるにもかかわらず、訓練もせず、勉強もせずに突然、勝手に政治の達人になれると考えている者がいる。まことに不思議である」というのがあるので、政治学者が政治家になっても成功するというのは、別に変なことではないんです。

九州デンタルショー2017

平成29年5月28日(日)にマリンメッセ福岡で九州デンタルショーがあって行って来ました。もう何年も行ってなかったのが、今回は手書きで宛名が書かれた案内状が届いていて、どうも気になるコーナーがあったので思い切って行って来ました。朝は7:30ごろ武蔵ケ丘から高速バスで博多駅まで。博多駅から無料のシャトルバスが出ていました。

デンタルショー.jpg会場のマリンメッセ。アンケートに答えてマグカッププレゼントとパンフレットが届いていたレセコンブースへ。プレゼンも出来ると言って、口腔内写真を映し出し、咬合平面が傾いていた写真を横に線を一本引いただけで、咬合平面が水平な写真に切り替わったのには驚きました。気になっていたコーナーに行って説明を聞き、もう一社レセコンの会社の説明を聞き、いつも「来て下さい」と誘われていたメーカーの所に行って挨拶をして、1時間ぐらいで切り上げて来ました。

 

 

 

シャトルバスで博多駅に戻り、久しぶりの博多を楽しむ。博多阪急や東急ハンズをウロウロしながらお土産を考える。

竹.jpgお昼ご飯は博多デイトスアネックスにある「すし割烹かじ」の玄海にぎり〈竹〉¥1183(税込み)。左上からかんぱち、赤身まぐろ、タイ、サーモン、あじ、ガリ、下に行って、ホタテ、穴子、ウニ、イクラ、ネギトロ、カッパ巻きだと思います。これにアサリとワカメのみそ汁と茶碗蒸しが付きます。おいしかったと思います。院長は糖質制限中ですが、週に2回まではお寿司を食べていいと決めています。実際は月に1〜2回です。

 

 

 

 

博多阪急に戻ってお土産と夜のオードブルを買って高速バスに乗って1時すぎには帰ってきました。

お寿司.jpgお土産の1つは博多阪急B1の食品売り場でお寿司¥997(税込み)。左下が反射して見えにくいですが穴子がおいしそうです。












牛めし.jpgもう一つは柿安の黒毛和牛の牛めし¥1300(税込み)。吉野家なら¥380なのに何でこんな高いのを買ったかというと最近、「コスパ飯」、成毛眞、新潮新書、2017という本を読んでいた所「ベスト・オブ・牛めし!」がこれだと出ていたのです。博多に出たついでに買ってきました。黒毛和牛だから仕方がないかと試しに買ってみました。博多駅構内筑紫口近くのいっぴん通りの売店です。





 

中身.jpg「コスパ飯」には「肉良し、米良し、副菜良し。そしてそれらのバランス良し。

 その味には「そうです、これです」と頷きたくなり、もっと食べたくなるようなこれが適量のような、心揺さぶるボリュームも素晴らしい。」(P50)とあります。

(家内によると熊本でも鶴屋で同じもの売っていたということです。)








マグカップ.jpgアンケートに答えて説明を聞いて貰ったステンレス製のマグカップ。早速使ってみました。結構使いやすいです。今日みたいな半日がかりの外出にはちょうどいい分量ではないでしょうか。いつも持っていく水筒では大きすぎるので今日はレジ袋に保冷剤を3つと350mlのお茶のペットボトルを入れて行きました。帰るまでそこそこ冷たかったです。







アンコール

週刊文春週刊文春2017.3.23P130阿川佐和子のこの人に会いたい 円 浩志

阿川 一曲とはいえ大ヒットしたわけだからコンサートの人気も爆発するんじゃないんですか?

円 ところがコンサートも全然人が入らなかった。なぜかというとレコードを買ってくれた人の多くが小学生だったんです。

阿川 あ、子供に人気はあったけど、大人には……。

円 意気揚々とコンサートツアーを発表して、序盤の東京の中野サンプラザ公演は身内を集めて恰好がついたけど、次の日の新潟公演に向かおうとしたら、マネージャーから「雪で中止になった」と聞かされて。じゃあ、その次の仙台公演の準備をしようかと思ったら今度は「電車に問題が……」とか言って、「なんかおかしいな〜」と思ったら、お客さんが入らなくてコンサートが全部中止になってたんですよ。

阿川 嘘でしょ!?

円 ホントの話です。辛かったですよ。そのうち仕事の予定も入らなくなるでしよ。でも印税があったからお金には困らない。そうすると毎日のように朝まで飲むようになったんです。朝方家に帰ると奥さんが洗濯してるわけですよ。「先に寝とけいうたやろ」と僕が怒ると「寝て、もう起きたんやないの」と返される始末で(笑)。あのころが一番堕落してましたね。時間があるから奥さんとよく旅行に行ったりしました。奥さんからすると「あのときが一番楽しかった」と言われるんですけど(笑)。

阿川 一緒にいる時間が長いから(笑)。

円 とはいえ仕事もないし、しょうがないから大阪に帰ろうとしたんです。その前によみうりホールでコンサートをやったんですけど、お客さんが二十人いなかったんですよ。

阿川 え、よみうりホールって……。

円 千人くらい入るでしょ。しかもその二十人が最前列とかじゃなくてバラバラに座ってるんですね。歌っても盛り下がるばっかりで。それで最後、「きょうで音楽やめます!」って言ったんです。

阿川 二十人の前で宣言を。

円 そこに来てる二十人はガチガチの僕の追っかけなわけですよ。だからやめるって言ったとき、「頑張れ!」とか「やめないで」って言ってくれるかと思いきや、全員が「うん」「そのほうがいい」って頷いて(笑)。

阿川「それが妥当な判断だ」って(笑)。

円 それでも最後一応、「アンコール!アンコール!」って言ってくれるんですよ。でもみんな下を向いて声出してるものだから「ウンコしたい、ウンコしたい」に聞こえてね(笑)。これで東京での音楽生活に見切りをつけて大阪に戻ったんです。

望月先生平成29年7月30日(日)来熊決定

平成29年5月20日(土)に熊本県歯科医師会からのメールが届いていて、開くと講演会のお知らせが。

「安全な歯科医療を提供するためのバイタルサインセミナー」日時が平成29年7月30日(日)午前10時〜午後3時 会場が熊本県歯科医師会4階ホール 講師が日本歯科麻酔学会望月亮理事となっておりました。同級生です。静岡市で開業しています。実は今回が初めてではなくて、数年前九大歯学部の歯科麻酔の教授の講演会の司会として来ていました。今回はみずからが講師のようです。昼休みの1時間をはさんで4時間の講演会です。日本歯科麻酔学会のホームページを見に行ったら理事に開業医は2人だけのようです。去年の同窓会にも来ていなかったみたいだし、ちょっと会いにいってみようかな。

負うた子に教えられ

週刊朝日2017.3.24P127マリコのゲストコレクション 林真理子×梅沢富美男

梅沢 (前略)僕は震災のとき、物資を買いあさってトラックで運んだんですが、福島の避難所で会った85歳のおばあちゃんが、「死にたい」って言うんですよ。息子さん夫婦とお孫さん2人が亡くなって、生き残ったのはおばあちゃんだけだって。

林 お気の毒な……。

梅沢 「神様がいるなら私の命を4人のうちの1人と交換してほしい」って泣きながら言うんですね。僕、言葉が出なかったんです。そうしたらおばあちゃんのお世話をしていた中学2年生の女の子が、「おばちゃん、せっかく助かった命なんだから、頑張って生きましょうね」って。その子はお父さんとお母さんを亡くして、天涯孤独なんです。なのにおばあちゃんを励ましている。それを見て「まいった」と思いましたね。義理人情の世界ですよ。それで「気取った芝居してる場合じゃない、人情芝居をやろう」と決めたんです。

林 皆さん、そんな梅沢さんのお芝居を見て、泣いたり笑ったりなさるんですね。

梅沢 人情芝居っていうのは隣近所にあるような小さいお話ですが、日本人の心にいちばん残ると思うんです。芝居のセリフに「負うた子に教えられ浅瀬を渡るはここらのことだ」というのがあるんです。川を渡るときに背中の子どもが「そっちは深いから、こっちがいいよ」と教えてくれる。でも大人って、だましだまされ毒されてるから、子どもの言葉を素直に信じずに深みにはまってしまうという……。

林 「負うた子に教えられ」までは知ってましたけど、その先は知りませんでした。

梅沢 純粋な心を持つ子どもに教えられることがあるんだって、60の年に経験しました。

(院長註:熊本地震でも避難所で自らも避難者の子供が「肩たたきします」と書いた段ボールを胸に下げて避難所を巡回し、「それじゃあ、してもらおうかね。」とあるおばあちゃん。後で配給のおにぎりにおばあちゃんが「わたしらはまだいいから、あの子らに先食べさせてあげて」と言ったという話がありました。)

書くリズム

週刊朝日2017.3.17P105司馬遼太郎と宗教特別編 講演録再録 法然と親鸞 上

 話すということと文章を書くということは、同じ言語中枢が働いてできることなのでしょうが、全く別の場所から生まれるような、そんな感じがすることがございます。

 私がこうやって皆さんの前でお話ししたあと、すぐ原稿を書かなくてはいけないとしますね。

 この場合、なかなか文章は出てきません。三時間ぐらいたって出てくる格好でして、しゃべっているときには私の頭はしゃべる機能で満たされているんでしょう。文章を書く機能が小さくなっているに違いありません。そして、文章を書くときには、やはりしゃべる気にもなりません。どういうわけでしょうね。しゃべるのも文章を書くのも、同じ言語なのです。

 私はその文章を書いて世を送っているわけですが、文章を書くことがそんなに難しいかと人に聞かれれば、こう答えます。

 「初めは難しかったが、いまはちっとも難しくない。文章にはリズムというものがあるようだ」

 体の中に何か楽器のようなものがあり、リズムがあり、文章はそれに乗って生まれるものらしい。

 三日も文章を書かずに旅行ばかりして遊んでおりますと、四日目に帰ってきて原稿を書く場合、脂汗が流れるほど四苦八苦します。

 ところが文章を毎日書いていますと、そういうことはありません。三日も遊んでいますと、体の中にあるリズムが消えてしまっていますね。

 文章とかリズムとか言いますと、たいそうに聞こえますから、簡単な例で言います。タクシーの運転手さんに聞いたことがあります。

 「運転手さん、あなたが一日休んで次の日に運転するとき、運転しにくい感じがありますか」 と聞いたら、

「そりゃあ運転しづらいです。走り始めから三十分か一時間ほどは体が反射しませんから、実に気を使います」

 向こうから自転車が来るからハッとして避けるとか、毎日のリズムのなかで体や精神が動いているけれど、一日でも休むと、そのリズムが消えてしまって、最初は神経を使う。うまく運転できないと聞きましてね、ああおれの小説と同じだなと。

 小説も運転も同じです。

 つまり、自分でつくったリズムが体の中にあるんですね。そのリズムにさえうまく乗せれば、私の見たこと、感じたこと、書こうとしていることがうまく文章になっていく。

 私の中にあるリズムは、ほかの作家のリズムともちろん違います。

 ほかの作家のリズムは短い波長だとか、私のリズムは多少長いとか、真ん中ほどで乱れているとか、いろいろあります。作家はことごとくリズムが違うに違いない。

3歳までは子どもにテレビを見せないでください

週刊朝日2017.3.10P31週刊朝日創刊95周年 週刊朝日の特報で現代史学び直し 下

 92年7月24日号には、アニメ映画監督の宮崎駿のインタビュー。「紅の豚」が公開されたころだ。宮崎が講演会で「3歳までは子どもにテレビを見せないでください」と語ったのを受け、その真意を尋ねている。

 〈若い新人たちに会うと、びっくりすることが多いんです。自分の絵を描かせるとのびのびしているのに、他人の絵をマネさせようとすると、まるで描けない。適応力がないんですね。(中略) 一因が、テレビを小さいときから見続けた影響じゃないかと思うんですね。子どもたちには、泥を食べたらまずかった、木にぶら下がったら、落っこった、という実体験が必要で、視聴覚しか使わないテレビばかり見ていると、五感がバランスよく発達しないのではないでしょうか〉

 子どもが「となりのトトロ」をビデオで繰り返し見ているという趣旨の手紙が届くといい、〈嬉しいけれど、同時にドングリを拾ってほしい、縁の下も見て欲しいんです。だから、そんなに何回も見ないほうがいいと思っちゃうんです。本当は自分の作品はビデオにしたくない。ジレンマです〉と語っている。

グローバル人材

週刊朝日2017.3.3P126若者に読んでほしい大学トップが勧める一冊

明治大 土屋恵一郎学長

 大手銀行の米国支店で長く仕事した方に、「グローバル人材とは何でしょうか」と尋ねたことがあります。すると、彼は「インテグリティー(誠実さ)です」と答えました。英語能力やプレゼンカではなく、「人格の高潔さや信頼感がないと、海外で仕事はできない」(後略)

今治に帰ってきました

平成29年GW後半を利用して今治に帰ってきました。行きのルートは前回と同じ菊池に出て大分日田の下の方を横切り小国から竹田を経由して臼杵に向かいました。前回何カ所かあった片側交互通行も今回は一カ所だけになっていました。すいていてスムースに走れました。今回は時間に余裕があるはずで以前から気になっていた臼杵みなと市場で昼食をとる予定を立てていました。ここでトラブル。インターネットで調べた時には昼食は10時からとなっていたのに、行ってみたら営業時間は10時半から。出港時刻は11時35分ですから出港30分前の11時5分には港に着いておきたい。時間ぎりぎりです。注文を終えて一言「わりと急いでます。」料理が出てきたのは10時50分。何とか余裕で港に着きました。船は混んでいました。フェリーが用意してくれるゴザで通路に座っている人もいました。              

臼杵ふぐ天丼.jpg臼杵みなと市場の臼杵ふぐ天丼。税込み950円。ふぐ天ぷらが4つと野菜天ぷらがいくつか乗っていました。院長はふぐの唐揚げが好物です。とり天は大分の名物です。大分ではふぐも天ぷらになるようです。一口食べて食べにくい。二口目からは付いていた味噌汁につけてふやかして食べました。おいしかったです。やっぱり大分はおいしい。








今治の実家に着いて晩御飯はいつも通り父がオードブルと延喜寿司を買ってきてくれました。父は89歳、母は85歳。年2回としてあと何回会えることか。実家の近くに住まなかったのでずいぶん親不孝をしました。できるだけ機会を作って帰るようにしたいと思ってます。

在英の兄夫婦が9月に帰ってくるそうで、2世帯で住むようです。驚いたのは2階のトイレがパナソニックのアラウーノに代わっていたことです。しかも人感知式で自動で便器のふたが開くのです。兄の帰宅の準備が着々と進んでいるようです。

翌朝は朝ごはんの後、父の先導で墓参り。まだ運転をしています。墓参りの後別れました。

帰りのルートは佐多岬先端の三崎港から大分の佐賀関港へ渡ります。

伊方道の駅から.jpg早く出すぎたので途中色々なところに寄ります。写真は道の駅伊方きらら館展望台からです。ひょっとして伊方原発?右手にはヘリポートのような物も見えます。









 

 

道の駅伊方2.jpg道の駅伊方きらら館展望台より佐多岬先端方向に向かう。駐車場も結構混んでいます。向こう左手には風車が見えます。













色々な所に寄ったにもかかわらず予約の1便前の出港より30分以上も前に着いてしまいました。なんとか1便前のに乗せてくれました。車はフェリーに一杯一杯に乗っていましたが客室はそれほどでもなかったです。院長の隣の席は空いていました。乗る時間も短く、料金も安い。次からは佐賀関三崎の往復だなと決めました。3ヵ月前から予約が取れるそうなので早めに取ろうと思いました。ただ船が臼杵八幡浜の3分の1の規模なので揺れはありました。お昼ご飯は道の駅佐賀関で関サバ丼(1000円)を食べる予定でしたが思ったより駐車場が小さく満車の看板が。入れませんでした。残念!早く帰って一杯やろうと結局お昼は抜きになりました。

久住高原.jpg久住高原の展望台から。

このあたりをドライブするのは気持ちいいです。ユーミンを聞きながら走りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久住高原2.jpg久住高原展望台より。

皆さん車を降りて写真を取っていました。このあたりまでは良かったのですが、もう少し行ったところで渋滞に巻き込まれました。カーナビの情報で片側交互通行の所で渋滞は3キロぐらいとはわかっていました。渋滞を抜けるのに30分ぐらいかかりました。

 

 

 

 

 

 

 

三愛レストハウス.jpg渋滞を抜けるとすぐに三愛レストハウスでトイレ休憩。人気のドライブインだけに3時半ぐらいだったにもかかわらずたくさんの人が食事をされていました。バイキングだけでなく単品もあるようです。後はひたすら自宅に向けて走るだけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

失敗する練習

あの一瞬 アスリートが奇跡を起こす「時」 門田隆将 角川文庫、平成28年

P87

「失敗する練習」

 トップアスリートたちとの極限の闘いを繰り広げた日々からおよそ四十年の歳月が流れた。加藤沢男は、二〇一〇年三月、母校・筑波大学教授を定年退官し、白鴎大学教育学部教授(スポーツ健康専攻)となった。今もスポーツアドバイザーとして週一日、筑波大学へも顔を出している。

 勝負師だった頃の骨ばった身体つきや顔ではなく、小柄で柔和な、いかにも大学教育に携わっている紳士である。

 私は、伝説の男・加藤沢男にどうしても聞いておきたいことがあった。それは、重圧に押し潰されることの多い日本のアスリートたちにも知っておいてもらいたいことである。

 「あなたは、なぜあれほどの極限の重圧と緊張状態を克服することができたのですか」

 私のその質問に、加藤はこう答えた。

 「それは、”失敗をする練習”をしたことでしょうか」

 意外な答えが返ってきた。一体、どういう意味なのか。

 「私は、練習とは、失敗を自分の(感覚の)範囲に入れてしまうことだと思っているんですよ。練習する時、ふつう”いいことばっかり”考えてやりますよね。要するに、成功することばかりを考えて練習しているわけです。でも、人間なのだから、失敗は必ずあるのです。私は、逆に、失敗をする練習を繰り返しました」

 練習とは失敗をしないためにあるのだと思い込んでいた私には、予想していない考え方だった。加藤は、さらにこうつけ加える。

 「若い人には、練習で失敗をいやになるまで繰り返しなさい、と言いたいのです。そうすれば、失敗を自分の(感覚の)範囲に入れてしまうことができます。どこでどうやったら失敗をし、どうすれば失敗をしないのかを、身体がわかってくるのです。

 失敗とは選手にとって一番大切なものです。ただし、失敗をしっ放しにしておくのではなくて、その感覚を自分のものにする。あらゆる角度で失敗して、その感覚を自分のものにしておくことが大切です。それが、選手にとって最大の財産だと私は思っています」

 加藤は、ほかの選手が”華麗な演技”をするために練習している時に、ひたすらその横で”失敗をする練習”をしていた、というのである。失敗しつづける中で、どんな時にも”失敗をしない度胸”を加藤は身につけてきたのだろうか。

 「私はむしろ、プレッシャーには弱い男だったんですよ

 と、加藤はまた意外なことを口にした。

 「私は若い頃、プレッシャーに弱くて得点を意識したら満足な演技ができないので、得点板は絶対に見ないようにしていたんです。緊張のあまり、これから演技をおこなおうとするるあん馬が、ぎゅーっと小さく縮まって飛びつけないような錯覚に襲われたことさえあります。そういうものを克服してくれるのは、練習だけですね。さらに言えば、失敗の練習です。試合場でこけるくらいなら、練習場でこけなさい、ということです。失敗をする練習をいやになるほどやれば、失敗した時にどうするか、あるいは失敗そのものをしない感覚が身についてくるものなのです」

 加藤は、そう言うと、かつて世界一の勝負師だったとはとても想像できない柔和で優しい笑顔を見せた。

 四十余年前のメキシコ五輪で、「床」の審判員を務めた金子明友は、八十三歳になった。いささかの記憶の衰えも感じさせないこの温和な加藤の恩師は、世界の檜舞台で極限の緊張状態を何度も克服し、国民の期待に応えつづけた愛弟子のことをこう評した。

 「加藤君は、”命綱”を持った数少ない選手でした。優れた選手には、絶対に失敗してはいけない場面で持っている命綱というものがあります。加藤君は失敗をする練習を繰り返しながら、極限の場面で頼れる命綱を掴んでいきました。

 これは”技幅”というものと関係しています。技を仮に”円”で表現するならば、この円がどこまで膨らんだ時に失敗が起こるか、逆にその円をどこまで締めていけば絶刈に大丈夫だという技が出てくるのか、その範囲を”技幅”といっていいと思います。

 技幅をどんどん狭くしていって、最後の凝縮した部分が命綱です。加藤君はどんな時でも大丈夫だというこの命綱を掴むために、その円のふちを取っていく、つまり、”失敗をする練習”を延々と繰り返したのです。大舞台や、いざという土壇場に立った時、それを掴んでいる選手でなければ、あの重圧の中で最高の演技をおこなうことはできなかったと思います。

 いまフィギュアスケートなどの試合を見ていると、本番で四回転ジャンプに失敗するシーンによく出会いますよね。そういう時に、ああ、惜しいなあ、と思います。いつも失敗をしない方で練習しているから、どうしても本番で失敗してしまう。逆にどうやったら失敗をするか、という”失敗をする練習”をやっていけば、いざという時に大丈夫だのになあ、と残念に思いますね」

(院長註:加藤沢男さんは三つのオリンピックで8個の金メダルを取り、「アジア最多の金メダルを持つ男」だそうです。)

「なってる」か?

週刊朝日2017.2.24P38暖簾にひじ鉄 内館牧子

「なってる」か?

 年末の「輝く!日本レコード大賞」の会場でのことだ。私は「制定委員」なので毎年12月30日の当日は、会場の新国立劇場の客席で最初から最後まで見る。

 制定委員はみなで並んで座り、その2列か3列前の席に、ノミネートされたアーティストたちが座る。その客席前方には舞台につながる通路があり、歌い終わったアーティストたちが席に戻って行く。

 私の3列前だっただろうか、新人賞を取った若い男性グループ「BOYS AND MEN」の10人が座っていた。

 彼らは名古屋を中心に、主に東海地方で活躍するグループである。メンバー10人は東海エリア出身か、在住で固めている。まさに今時の美しい青年たちで、衣裳もきらびやかだし、髪の色もきらびやかだ。歌、ダンスはもとより、ミュージカルもできるという。

 私はこのグループに関しては「BOYMEN NINJA」という新曲が、初登場でオリコンウィークリー1位になったという程度しか知らなかった。

 驚いたことに、このきらびやかで派手な青年たちは演歌も流行歌も身を乗り出して聴くのだ。後ろの席にいる私からは、それがよくわかる。

 たとえば、氷川きよしさんの「みれん心」とか坂本冬美さんの「女は抱かれて鮎になる」などは、自分たちのジャンルとは大きくかけ離れている。だが、歌のうまさや感情の出し方など、きっと得るところがあるのだろう。真剣に聴いている。

 やがて、最優秀歌唱賞の鈴木雅之さんが舞台に上がった。「シャネルズ」(後のラッツ&スター)のボーカルとして、一世を風扉した人だ。当時から、その日本人離れした迫力ある歌唱は抜きん出ていた。

 私は演歌一辺倒なのだが、鈴木さんは好きで、コンサートにもよく行った

 レコード大賞の舞台で披露する歌唱は、「最優秀歌唱賞」をもらうのが遅すぎたと思わせる力量だった。

 ふと前を見ると、BOYS AND MENの10人がピクリとも動かずに、舞台の鈴木さんを見ている。聴いている。

 10人はみな20代であり、鈴木さんは60代だ。年代による差異は当然あるはずだし、鈴木さんの楽曲も、彼らのものと重なりにくいように私には思える。だが、「身じろぎもしない」というのは、こういう姿を指すのだろうと思ったほど、ピクリとも動かない。

 こうして鈴木さんは歌い終わり、拍手の中、舞台を降りた。そして、10人が座っている前方通路を歩いて来た。すると、10人は立ち上がって熱烈な拍手を送ったのである。

 私は間近から見ていたが、誰かが促して全員が立つというのではなく、「鈴木雅之」というアーティストの、圧倒的な歌唱と佇まいに敬意を表するには、立ち上がって拍手し、見送りたいと、10人が同時に考えたとしか思えない。一斉にスタンデイング・オベーションだ。

 そこには「ああ、俺たちもっと頑張らなきゃな」という気持ちもあったかもしれない。すごい先輩がいることを喜ぶ気持ちもあったかもしれない。

「いいものはいい」として認め、スタンディング・オベーションをする若い人は悪くないものだ。

 その時、思い出したことがある。

 一九九一年、私はTBSのスペシャルドラマ「貴族の階段」の脚本を書いた。原作は武田泰淳さんの同名小説だった。これは二・二六事件を貴族の家の長女(斉藤由貴)の目を通して描いた作品である。

 出演は平幹二朗、山村聰、杉村春子という凄いメンバーで、脚本を書いた私も撮影現場に行ったが、緊張でガチガチ。何しろ、この凄い三人が、私の書いたセリフを口にしているのだ。脚本家冥利に尽きる。

 すると、斉藤由貴、高嶋政宏、清水美砂(現・美沙)の若手が身を乗り出して、三人の演技を見ているのに気づいた。

 そればかりか、二・二六事件の若い将校役のたくさんの俳優たちも、何も見逃すまいというように見ている。さらに、この日の出番はない若手も来ていて、やはり凝視している。

 それはそうだろう。自分の目の前で、平幹二朗、山村聰、杉村春子の演技が見られるのだ。日本を代表する名優の演技を見たい。盗みたい。学びたい。

 その思いは監督やプロデューサーもわかっていたのだろう。このシーンに関係のない俳優がずい分いて場所ふさぎだなァと思ったはずだが、最後まで何も言わなかった。

 そして、「カット」の声が掛かると、凝視していた若手からホーッと一斉にため息がもれたことを、今でも覚えている。BOYS AND MENが、あの時の若手俳優と重なった。

 いつの世でも、若い人は大人たちに言われるものだ。勝手だとか、年長者への態度がなっていないとか、チャラチャラしているとか。これは大人の側に問題提起もしている。

 「貴族の階段」の名優たちや、鈴木雅之さんは、若い人たちがあがめる力を持っている。その力を認めれば、若い人たちはきちんと敬意を表するのだ。

 それは芸能人だけではなく、あらゆるジャンルに共通することだろう。凄い先輩を見るのは誇らしいし、自然に立ち上がって見送ったり、ため息がもれたりするものだと思う。

 若い人を「なってない」と言う前に、自分が「なってる」のか考える必要がありそうだ。レコード大賞の客席で、身が縮んだ。

地方から東京の大学に入る

週刊朝日2017.3.3P126若者に読んでほしい大学トップが勧める一冊

早稲田大鎌田薫総長 

 僕らが学生の頃は乱読の時代でした。今でも印象的なのは、地方から大学に入った同級生が「東京の子はいろんなことを知っている」と、ショックを受けていたことです。彼は負けられないとばかりに、「俺は今日から岩波文庫を毎日読む」と宣言し、卒業までやり抜きました。今は数多く本を読んでも、自慢にならない時代。残念です。(後略)

(院長が大学に入学した時を思い出しました。大学は御茶ノ水にあったのですが、教養部は千葉県の市川市にありました。のんびりした雰囲気で国府台牧場と呼ばれていました。学生寮もここにありました。夏場などプールやグラウンド、テニスコートなども自由に使えたと思います。授業では五十音順に並び、前にも書きましたが、前の席はフランス語で受験した東京の私立暁星高校出身の加藤君、後ろの席は帰国子女で英語ペラペラ、バイリンガルで東京学芸大附属出身の山室さん(旧姓菊池)。今治西高校で数学の西原先生が「東京なんか行ったら帰国子女なんか一杯いるのだからちょっと英語ができるぐらいではとても太刀打ちできない。田舎者が勝負できるのは数学だ。数学をがんばりなさい。」と言っていたのを思い出して「ほんまや。」と思いました。地方出身のコンプレックスは絶対あったと思います。でも今になって思えば早稲田の大隈重信は佐賀出身、慶応義塾の福沢諭吉は大分中津の出身です。東京のシンボルである東京都庁や代々木体育館を設計したのは今治西高の先輩の丹下健三さんです。昔東京大学の総長だった矢内原忠雄は今治出身です。みんな田舎者ばかりじゃないか。今春上京された皆さんビビらないでね。)

ファンクショナルMRI

週刊文春2017.2.16P119阿川佐和子のこの人に会いたい 脳科学者 中野信子

阿川 (前略)以前お目にかかった時に脳科学が劇的に解明されたのは二〇〇〇年以降とうかがいまして、ほんの最近なんですよね。それはどうしてなんですか?

中野 ファンクショナルMRIという機械が開発されたことが大きいですね。日本人研究者の小川誠二先生が発見したBOLD効果を利用した機械なんですけど、簡単に説明すると、MRIは単に脳の断面を見られるだけなんですが、ファンクショナルMRIではさらに脳のどの部分が働いているかまでわかるんです。

阿川 じゃ、脳のしくみが劇的に解明されたことで、それまで常識だと思っていた脳の認識の中で、これは違っていたぞってことはあるんですか?

中野 たとえば、よく右脳が感情で左脳が理性をつかさどってると言われてたじゃないですか。

阿川 ああ、芸術家は右脳が発達してると言われますよね。

中野 あれはどうも違うようなんです。

阿川 ええ!! 違うのぉ!?

中野 はい(笑)。左脳が解像度の高いところを見て、右脳は解像度の低いところを見るという特徴を持ってるんですね。実験としてAという文字をたくさん並べてHの形を作ります。これを右脳、左脳それぞれに損傷がある人に見せたところ、右脳を損傷している人はAのみを認識しHの形が分からないし、左脳を損傷している人はHの形は分かるけど、Aを並べて作っているということは分からない。

阿川 つまり、右脳はモノをぼんやり大ざっぱに認識するけれど、左脳はむしろディテイルを認識する力があるってことがわかっただけで、必ずしも右脳が芸術家肌で、左脳が理性派とは言い切れないと。ほかに脳関係で身近な話題だと、認知症というのは脳が萎縮して起こる現象ですよね。この解決法はないんですか?

中野 アルツハイマ一型認知症はそうですね。これは神経細胞の周りにタンパク質繊維が溜まってることがひとつの原因だと分かってるんですが、魔法のように一気に解決する薬はまだ開発されていません。いまのところ言えるのは、認知症になりにくい人の習慣が三つあること。

阿川 三つ?

中野 コミュニケーションをよくとること。これは脳で新生された細胞をより生き延びさせることに寄与するんだろうと考えられています。そして歩くこと。これは脳にちゃんと血流を送る効果がある。

阿川 あとひとつは?

中野 動物性脂肪を摂る頻度が少ないことです。

阿川 お肉食べ過ぎたらダメなんだ。

中野 はい。でも私、お肉好きだからなあ(笑)。

本震から一年

平成29年4月16日(日)

今日で本震から1年。地震を経験した身から言わせてもらうと物理的に大きく揺さぶられましたが、心理的にも大きく魂を揺さぶられました。「地震、雷、火事、親父」とよく言いますが、カミナリ親父に思いっきり怒られた感じです。「ちゃんとしますからもうゆるして下さい。」と心の底から思わされました。避難所に避難した留守宅に泥棒が入ったという話も聞きましたが、犯人は福岡あたりから来た人でした。

1年がたって日常にもどりつつあるのか、この前後ろの車に思いっきりクラクションを鳴らされました。

4月14日の熊日朝刊によると今も仮住まいの人は4万7725人だそうです。

新阿蘇大橋は4年以内の完成だそうです。それまでは迂回ですね。

女子ゴルフは熊本出身の上田桃子選手に優勝させてあげたかったです。

忍者五郎丸選手

平成29年4月14日(金)

今日で前震から丸1年。テレビでこの1年に熊本に来てくれた人の特集をやっていました。中でも大歓声だったのはラグビー五郎丸選手。目の前で例の「カンチョー」ポーズからド迫力のキック。小学生から大歓声が上がってました。誇らしくうれしかったです。誰も言わないので気づきませんでしたが、あのポーズ忍者の「印を結ぶ」という行為じゃないですか?日本古来から戦いの前に集中力を高めるための行為です。そう思って見ると忍者五郎丸選手見え方が変わって来ませんか?

ルシファー・エフェクト

週刊文春2017.2.16P118阿川佐和子のこの人に会いたい 脳科学者 中野信子

阿川 (前略)SNSが発達して、特にメディアに出ている人に対し、普段なら絶対に言わないような口汚い書き込みを大勢の人が平気でする時代になってる気がするんですが。アンタにそんなこと言う権利あるのか!?っていうような。大衆がサイコパス化しているような……。

中野 それはルシファー・エフェクトといって、匿名性が高くなると、悪魔のような振る舞いをするようになるという心理学の研究結果があるんです。ただバッシングというのはサイコパスとは反対に実は向社会性、つまり集団を守ろうという気持ちが働いているのだとも考えられます。

阿川 守ろうとしているとは?

中野 集団の中でルール違反をした人がいた時に、あの人には反省してもらわなきゃね、という。

阿川 ああ、罰を与えましょうと。

中野 集団を守るために、和を乱す者に罰を与える快感の回路が長い間かけて人間に備わってきたんです。去年から今年にかけて不倫をものすごく糾弾する流れになっているじゃないですか。一度バッシングすることで快感を得てしまうと、さらなる快感が欲しくて、ルールを破っている人を探すようになってるように感じます。

阿川 まさに『週刊文春』だな(笑)。

中野 社会を守ろうとする大衆の性質を利用しているのが『週刊文春』といえるかもしれませんね(笑)。ただ、向社会性が行き過ぎると、戦争が起こりやすくなってくるとも考えられていて。

阿川 戦争につながっちゃう!?

中野 もっと手前のヘイトスピーチが問題になっていますけど、これがクローズアップされているということ自体が、外の集団に対する敵意や蔑視の力が大きくなっている証拠です。その力が強くなるトリガーの一つとして災害があります。災害が起こると仲間を守らなきゃという社会性が働いて……。

阿川 絆社会みたいな?

中野 はい。絆社会が強くなればなるほど外の集団や、ルール違反をした人へのバッシングは激しくなる。そうすると戦争が起こりやすい条件は整っていきます。

瞬間湯沸かし器

週刊文春2017.2.16P118阿川佐和子のこの人に会いたい 脳科学者 中野信子

阿川 (前略)これ友人の上司の話で、彼はアメリカに赴任してすごく評価された人らしいんですが、友人が上司に「以前おっしゃっていたことと違うんじゃ?」と問うと自信満々に「いや、それはいいとして、これからの問題は三つあって」って感じで返ってくるんですって。友人からすると「この人は以前間違ったことを言ってたはずなのに悪いとは思ってないの?」と思うけど、本人はぜんぜん悪びれてない。

中野 ああ〜、それはサイコパスの可能性があります。その上司の方を追及すると感情的に怒りだすなんて話は聞いたことありませんか?

阿川 あります!いつも極めて合理的な人なのに、間違いを指摘したとたん、逆ギレしたように感情的になるんですって。

中野 瞬間湯沸かし器みたいになるというのもサイコパスの特徴です。ほぼ間違いないと思いますね(笑)。

阿川 そうなんだ(笑)。間違ったことを言ったという罪の意識とか倫理観が欠けてるんですかね?

中野 倫理観を持っていても一円にもならないと思っているんです。経済合理性を重視するので。

阿川 じゃあ、そういう人が近くにいて、振り回されないようにするにはどうすればいいんですか?

中野 もう逃げるしかありません(笑)。

「サイコパス」中野信子

週刊文春2017.2.16P116阿川佐和子のこの人に会いたい 脳科学者 中野信子

阿川 そもそも、脳科学での”サイコパス”の定義というのはどんなものなんでしょうか? 私の場合、ヒッチコックの映画『サイコ』の印象が強いせいか、滅茶苦茶頭はいいけど、犯罪を犯してしまう、理性のコントロールの利かない天才というイメージが……。

中野 ああ、一般的なイメージだとそうですよね。脳科学的な解釈だと「理性と、いわゆる人間らしい感情の部分のバランスが普通の人とは違う人」になります。だから必ずしも頭がいいわけではありません。

阿川 え、意外!

中野「この人はいまこういう思いをしてるんだろうな」という共感力が発揮されるのは、目のくぽみのところ、そのちょっと上にある眼窩前頭皮質という脳の部分の働きなんです。サイコパスはその機能が低く、他人の気持ちを慮れないんです。

阿川 じゃあ、サイコパスは脳の機能に欠陥があるということですか?

中野 欠陥ではなく、特徴ですね。サイコパスの中でも幅があって、知能がそこまで高くない場合は、反社会的な行動をみんなに見える形でやってしまうので捕まる。でも、知能が高いと、犯罪は犯さないけれどみんなを食い物にして、自分の利益のために人を利用しても心が痛まないんです。

阿川 やだなあ……。でもなぜいまサイコパスが脚光を浴びているんでしょう? 世の中で増えてるんですかね?

中野 以前からいたんだと思います。ただ昔はサイコパスだとわかりづらかったのが、いまはネットがあるので、人の過去の行動や言動をトレースできるようになったんじゃないですか。「え、過去にこんな言動をしているのにいまは取り繕っているんだ」ということが見えやすくなって。

阿川 どういうことですか?

中野 その場限りですごくいい顔をすることができるのがサイコパスのひとつの特徴なんですね。だけども、実は過去にこんな裏切り行為をしていますということがわかった場合に……。

中野 ええ。周りにいると大変厄介なのですが、この能力が必要な場面もあるんです。たとえば外科医の場合、麻酔をかけているとはいえ、相手が痛いだろうなと共感性を働かせてしまうと、手術できないですよね。

小林誠司捕手

週刊文春2017.3.30P38野球の言葉学 鷲田康

 人の評価とは分からない。

 第四回ワールド・ベースボールークラシック(WBC)で、史上最弱の前評判を覆して侍ジャパンが快進撃を遂げ、その立役者として注目を浴びたのが巨人の小林誠司捕手(27)だった。

 プロ四年目。三年目の昨年は百二十九試合に出場し、両リーグの捕手でただ一人、規定打席に到達した。しかし打率二割四厘はその中で最下位。そればかりかキャッチングの悪さや投手とのコミュニケーション能力の低さから、試合中にマイルズ・マイコラス投手(28)に怒鳴られ、オフには高橋由伸監督からわざわざ「レギュラーとは言っていない」と釘を剌される始末。評論家の江夏豊さんには「正捕手の器ではない」とまで断じられた。

 そんな小林の評価がWBCを境に一変した。

 「誰が期待しました? 小林さん。誰も期待していない。嬉しい誤算ですよ」

 こう語ったのは日曜朝の「サンデーモーニング」(TBS系)でご意見番を務める張本勲さんだ。ハリさんの指摘通り、代表入りした時点では控えの第三捕手扱い。日本ハム・大谷翔平投手が元気なら、開幕のキューバ戦は同僚の大野奨太捕手(30)がマスクを被るはずだった。ところが大谷の故障離脱で開幕から先発マスクを被り、その評価を不動にしたのが二試合目の豪州戦での気配りだった。

天然の手抜き癖

 二番手の中日・岡田俊哉投手(25)がボールを連発すると、タイムをとってマウンドに駆け寄り「思いきって投げてこい」とアドバイス。これが功を奏したのか、次打者をニゴロ併殺に打ち取りピンチを切り抜けると、ペンチで背中をポンポンと叩くアフターケアも忘れなかった。

 「ああいう何でもないことが一番大きい」

 こう絶賛したのが野村克也さんだった。

 「(投手の気分を)良くさせるし、自信を持たせる。それがキャッチャーの仕事。小林さんには頭が下がりました」

 以前は小林の”捕手力”にボヤキ連発だったノムさんまでもが絶賛するほどの高評価だ。

 「もともとの素質はピカイチなんです」

 こう語るのはスポーツ紙の巨人担当だ。

 「肩の強さは文句なく十二球団ナンバーワン。打撃はお世辞にもいいとは言えませんが、それでも不思議な勝負強さがあって、昨年も夏ぐらいまで得点圏打率は主軸の長野(久義外野手)を上回っていました」

 ただ、一番の問題は天然の手抜き癖で、ちょっと気が抜けると途端にズボラなプレーが出てしまう。

 「いい投手ばかりで、持っている能力が凄く高い。あとは自分がしっかりして、一番いいものを引き出せたら」 WBCに臨む小林の言葉学だった。

 そういう意味では各球団の主力が集まる代表チームこそは、絶対に気の抜けない環境。常に緊張感を強いられているのが、この男の潜在能力を引き出す格好のきっかけなのかもしれない。

 今年は自主トレで先輩の阿部慎之助内野手(38)に捕手のいろはからマンツーマンで鍛えられ、自慢のサラサラヘアも丸めて坊主頭での再出発を誓った。

 「それだけに巨人関係者も小林の活躍は素直に喜んでいますが、その一方で『いつまで続くか』と冷ややかに評価する首脳陣もいます」(スポーツ紙デスク)

 手放しで絶賛の評論家をよそに、小林の活躍に一番、疑心暗鬼なのは、身内の巨人関係者という訳である。

車中泊

3月14日で前震から11か月だそうで、熊本日日新聞が車中泊の特集を組んでいました。部屋の中ではTVや色んな物が飛んでくるし、箪笥は倒れ掛かるはで、本当に身の危険を感じました。

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熊本日日新聞平成29年3月14日(火)朝刊26面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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熊本日日新聞平成29年3月14

日(火)朝刊1面

院長が車中泊させてもらった楠小はこんなに多くはいなかったと思います。それでも運動場の3分の1ぐらいは埋まっていたような記憶があります。それでも全校生徒330人の体育館に1000人の避難者が詰めかけたそうです。本震が起きたのは夜中の1時25分ですから真夜中です。この光景は異様です。

 

 

 

 

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