「起きたことが正解」

週刊朝日2020.7.10P44この人の1週間 近藤芳正(俳優)

津川雅彦さんの口癖が精神安定剤に

 自粛期間に入るまで、京都で撮影をしていた。緊急事態宣言が発令され、撮影は中止に。新幹線に乗って東京に戻る途中、頭の中で、かつて津川雅彦さんの口癖だった言葉が、何度もループした。

「起きたことが正解」

 6月に予定されている一人芝居も、このままでは中止せざるをえないかもしれない。日本は、世界はこれからどうなってしまうのだろう。経験したことのない混乱の中、その津川さんの言葉を反芻するだけで、気持ちが落ち着くような気がした。嵐のような不安が渦巻く心に、ふと、凪の瞬間が訪れるような。

「津川さんとは、何度も共演させていただいたんですが、何事にも動じないというか、起きたことすべてを受け入れる、人としての器の大きさを感じる瞬間が多々ありました。撮影というのは、なかなか予定どおりには進まない。今日撮るはずだったシーンが、何かの都合で次の日に延期になったりする。そういうとき、俳優は大体ガッカリするものですが、津川さんだけは、まるで自分に言い聞かせるように『起きたことが正解』とつぶやかれていた。今になって、津川さんのそんな短い一言が、僕の精神安定剤になってくれたんです」

(院長註:熊本県南部の水害でご心配をおかけしています。本当にひどい被害のようです。車が逆立ちしてたり、自動販売機やピアノが流されているのも映像で見ました。東京都知事選に立候補していた小野前熊本県副知事が「熊本が水に埋まってしまった。こんな事している場合か?世話になった人の顔が何人も思い浮かぶ」と心配しているのが伝わってきています。

熊本地震では前震で「大丈夫だ」と言った途端にに本震でやられました。線状降水帯はしばらく続きます。コロナ禍で弱っているところにダメージは大きいですが、被災者に寄り添いながら、前向きに頑張っていくしかないと思っています。

「人間万事塞翁が馬」という言葉もありますしね。)

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