佐賀・西光寺

週刊朝日2017.5.19P115司馬遼太郎と宗教

(院長註:義父の先祖のお墓がある寺です。家内も駐車場で「暑かですな。」と話しかけられてびっくりしたと言っていました。)

 キリスト教への信仰のゆらぎもあり、日本で僧侶となったニュージーランド人がいる。浄土宗「西光寺」(佐賀県)の僧侶、作田スティーブン法道さんだ。

 「これまでも日系の方はいらっしゃいますが、浄土宗で目の青いお坊さんは私ぐらいのようです(笑)」

 186センチの長身で坊主頭に袈裟姿がよく似合う。ニュージーランドでのラグビーのポジションはバックスだったが、高校時代に日本留学するとフォワード(ロック)になった。

 「私の家はとても厳しいキリスト教徒で、飛び出るように日本に来ました。大阪で暮らしましたが、ホストファミリーがすごくいい人たちで、家の隣が浄土宗のお寺でした。厳しいキリスト教しか知らず、日本の大らかな浄土宗を知ります。本当の意味での宗教の自由を感じました」

 1年間の留学から帰国し、大学に通っているときに日本人女性と恋に落ちる。それがたまたま西光寺の長女だった。

 「あるとき電話が鳴り、お義父さんから『お寺に入ってくれといわれたらどうする?』と聞かれ、深く考えずに『入ります』と答えました。自分でも驚きましたが、後で考えると、心のどこかで信仰にかかわる仕事がしたかったのだと思います。奥さんと相談せずに即答したので、えらい怒られちゃったんですが(笑)」

 その後、知恩院などで修行を重ねて僧侶となっている。

 ユーモアをまじえた流暢な日本語で語るスティーブンさんだが、宗教と人生が直結した家庭で生まれ育ったようだ。父は会計士として教会の仕事をし、母は教会でピアノを弾くことで生活。毎週5日は教会に通い、聖書を読み、賛美歌を歌う。読む本も見るテレビも父の許しが必要だった。

 「若いころはイギリスにも留学してキリスト教を勉強し、教会をもちたいと思った時期もありました。でも、一生懸命になればなるほど疑問が湧く。答えを見つけようとしたけど、まさに神は”沈黙”です。大きな疑問は『天国と地獄』。地獄は永遠の罪で、いまのこの命よりもっと重大なものです。ただ、自分はキリスト教徒の父母の家に生まれたからキリスト教徒で、その偶然で天国に行く。もし仏教やイスラム教の国に生まれていたら永遠の地獄行きというのは納得できませんでした」

 いまは法然のシンプルな教えに身をゆだねている。浄土宗の僧侶たちでつくる勉強会で、潜伏キリシタンを学んだり、死生観について語り合ってもいる。

 「私の神も厳しい父親のようなゴッドから、母親のように優しい阿弥陀様に変わってきました。しかし大きな違いがあるようには思えません」

 静かなお寺で、宗教そのものへのチャレンジャーに会った。

(院長註:前回のラグビーワールドカップ日本代表の主将だったリーチ・マイケル選手を思い出しました。先日熊本で行われたルーマニアとのテストマッチでもトライを決めてました。外見から外人の助っ人選手と思われがちですが、彼は15歳の時に来日し、札幌山の手高校、東海大、東芝とラグビー選手としての経歴はほとんど日本で作られたものです。奥さんも日本人です。)

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