皿を割ることを恐れるな

週刊文春2017.4.6P172阿川佐和子のこの人に会いたい 熊本県知事 蒲島郁夫

蒲島 震災で空港が傷んだんですけど、民間の力を借りてよりよい姿に復興したいと思っています。あと、八代港はアメリカのロイヤル・カリビアン・クルーズ社の投資により、クルーズ船の母港化にも取り組むなど、創造的復興を進めます。私のモットーは「逆境の中にこそ夢がある」なので、地震があったからこそ、これが出来たというものを造りたい。とはいえ、それは私だけが考えていても意味がない。職員が共有してくれていることが重要です。

阿川 共有してもらうためにはどうすればいいんですか?

蒲島 私はいつも職員に「皿を割ることを恐れるな」と言ってるんです。リスクを恐れず挑戦しようということですね。お皿を多く洗っていたら、割ってしまうこともあるでしょう?

阿川 でも、元々お役所というところは前例主義でしょ?

蒲島 私も最初に来たときは、保守的な組織で驚きました。だからこそ、トップが失敗してもいいと言わなきゃいけない。そうすることで職員も安心して、「知事も『皿を割ることを恐れるな』と言ってるんですから」と上司に立ち向かうこともできる。私自身、副知事に言わせると「怒りの遺伝子がない」そうで、知事になって一度も怒ったことがない性格というのも職員がのびのびやれている理由かもしれません。

阿川 えー! 怒ったことがないんですか!?

蒲島 ないんですよ。やはり組織ですから、一人では仕事はできない。私の考えを共有してもらうことが大事で、そのためには怒らず、褒めるようにしています。県庁全体がやる気になるようにするのが私の役目ですよね。

阿川 そんな風にして三期目をお務め中で、これだけの災害に対しても采配を振るわれた。知事といいますか、トップとして必要なことは、褒めること以外にはなんだとお考えですか?

蒲島 まずは動じないこと、次に明るく存在することですよね。(笑顔で)トップはどんなときでも明るくないといけません。

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