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シジュウカラにも言語があった

文藝春秋2016.6月号P88

シジュウカラにも 言語があった  鈴木俊貴(京都大学生態学研究センター研究員)

 春先に繁殖期を迎えるスズメの一種、シジュウカラ。スズメより一回り小さいくらいの鳥で、胸から腹にかけてネクタイのような黒い帯模様があるのが特徴です。北海道から沖縄まで日本列島に広く生息しており、市街地にも姿を見せるので、「ツツピー、ツツピー」という鳴き声は、誰しも聞いたことがあるでしょう。

 よく耳を澄ませると、シジュウカラの鳴き声にはさまざまなバリエーションがあることが分かります。「ツピツピツ」「ヂヂヂヂ」「スィー」・・・・・。

 僕は、こうした鳴き声にはそれぞれ意味があり、シジュウカラが言葉を使ってコミュニケーションをとっているのではないかという研究をしています。

 研究を始めるきっかけとなったのは、二〇〇五年の秋の出来事でした。動物行動学者を目指す僕は当時、大学四年生。軽井沢の森に通って、卒業研究のテーマを探していました。山小屋にこもり、人間とはほとんど接触せず、ツキノワグマに遭遇したりしながら、動物たちを観察する日々。そんなある日、シジュウカラの巣箱にヘピが迫り、ヒナを食べようとしているところにたまたま出くわしました。そのとき、外にいた親鳥が「ジャージャー」と鳴いていたのです。

 それまで、朝から晩までシジュウカラの鳴き声を聞いていましたが、そんな声を聞いたことはありませんでした。「もしかして、『ヘビだ!』と言っているのかもしれない」と考えた僕は、それから何シーズンにもわたってシジュウカラの観察に明け暮れました。

 シジュウカラにとっての天敵は、ヘビの他にカラスやネコなどが挙げられます。そうした敵が巣箱に近づいているのに気づいたとき、ガラスなどの場合は「ピーツピ、ピーツピ」と鳴くのに対し、ヘビの場合だけ「ジャージャー」に変わっていました。

 さらに、巣箱の内部に設置した小型カメラの映像を見ると、親鳥の「ピーツピ」という声を聞いたヒナはうずくまったのに対し、「ジャージャー」のときは巣箱から一斉に飛び出して、戻ってきませんでした。 ヒナがうずくまるのは、巣穴から差し入れられる敵の嘴などから身を守るため。しかし巣箱に侵入するヘビの攻撃を避けるには、外に逃げ出すしかない。つまり、シジュウカラはヒナに捕食者の種類を鳴き声で伝え、ヒナはそれを理解して危険を回避したと考えられるのです。

 実は同様の研究として、一九八〇年に、サルの一種が敵に応じて鳴き声を変えることが分かっています。人類の言語の起源である可能性もある大発見とされましたが、単語を組み合わせる能力までは認められませんでした。

 ですが、何年もシジュウカラを観察しているうち、異なる単語をつなげてより複雑な意味にしているのではないかと考えるようになりました。

 つがいの相手やいい餌場を発見したとき、シジュウカラは「ヂヂヂヂ」と鳴きます。その声を録音しスピーカーで流すと、彼らはスピーカーに近づいてくる。「ヂヂヂヂ」は「集まれ」という意味だと推測されます。

 そこで「ピーツピ、ヂヂヂヂ」と連続した鳴き声を聞かせると、親鳥は左右に首を振りながらスピーカーに接近してきました。首振りは、天敵の位置を特定するための行動。つまり、単語を組み合わせることで「敵が来たぞ、集まれ」という意味になったと考えられるのです。

 ところが、「ヂヂヂヂ、ピーツピ」と単語の順番を入れ替えると、ほとんど反応しなくなった。シジュウカラの鳴き声の組み合わせには何らかの規則、つまり文法のようなものがあるのかもしれません。

 シジュウカラが生息する森の中は、捕食者も多い上、敵がどこから迫ってくるかが目視しにくい。仲間がどこにいるかも分かりにくい。そんな環境が、このように複雑な鳴き声を発達させることになったのだと思います。

 実は、動物の声帯模写で知られ、今年三月に亡くなった四代目江戸家猫八さんは、僕の研究に興味を持ってくださっていました。一緒に軽井沢の森に行って、鳴き真似の練習もしていたんです。猫八さんが鳴き真似をマスターして、僕が単語や文法法則を解明できれば、鳥とコミュニケーションをとることも夢ではなかったかもしれません。

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