屋根つきの観客席

「TEST MATCH」宿沢広朗、講談社、1991

P175

屋根つきの観客席がラグビー場の雰囲気をつくる

 素晴しいテストマッチは、三十人のプレーヤー達だけによって生み出される訳ではない。プレーの良さ、テストマッチの雰囲気を引き出し、盛り上げる″大道具、小道具”が必要である。
 その代表的なものがスタジアムであろう。英国のトゥイッケナム、カーディフアームズパーク、マレーフィールド、ランズドーンロード、ニュージ−ランドのエーデンパークーーー。どのラグビー場も、ナショナルスタジアムにふさわしい大きさと風格がある。

 近年、これらの競技場は改装を重ね新しく、より見やすくなってきている。ちなみにこの改装費の一定部分は、デベンチュアーといわれる社債のようなものをラグビー協会が発行し、一般の人々の購入を募る。デベンチュアーの保有者は、テストマッチのチケットを購入する権利を賦与されるというもので、資金の集まり具合は良好だという。

 ナショナルスタジアムの風格をつくり出すのに大きく役立っているのが、スタジアムの屋根だ。

 この屋根が、威厳さと圧倒感を生み出していることは見逃せない。

 加えて、ゲームが白熱してきた時の大歓声や観客の大合唱をエコーする効果も絶大だ。

 ラグビー場は本来、屋根があるのが本当なのかも知れない。屋根の型は様々だ。四方を屋根でおおっているもの、正面とバックスタンドだけのもの、アームスパークのような馬てい型のものもある。

 ナショナルスタジアムだけでなく、英国では地方や、クラブのラグビー場も小さくても屋根のあるところが多い。

 日本も最近、札幌の月寒、熊谷、瑞穂など美しいラグビー場が建設されているが残念ながら風格のある屋根は無い。もちろん費用の関係でそこまでぜいたくは言えないけれども、英国のいろいろなラグビー場でプレーすると屋根つきの観客席の良さがわかる。本当に観客に囲まれてプレーしていることが実感できる。

(院長註:先日熊本では「新国立競技場の建設にあたって、熊本城の一口城主のように一口一万円で寄付を募って、寄付した人の名前を掲示したら」という意見が新聞に載っていました。一口場主なんてね。熊本ではおじいちゃん、おばあちゃんは「孫の分まで」と言っている人もいて結構集まった様ですよ。城主証が送られてきて、それが期間限定の熊本城の入場無料のパスポートになっていたようです。)

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