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「美女の骨格 名画に隠された秘密」宮永美知代、青春出版社、2009
P90
肥満はブスか? 美人か?
西洋美術の世界で、画家たちはしばしば「裸婦」を描きました。
みなさんはこんな疑問を持ったことがありませんか。
「裸婦ってなぜかみんな、肉感的でぼってりと描かれてない?」
「裸婦=ふくよかな肉体」という図式があるわけではありませんが、広く知られる絵画には、確かに豊かな脂肪を持った裸婦が描かれているケースが多いものです。
現代的な感覚からすれば、「太っている」ことは「美」とは相容れないわけですが、画家はなぜ、太った裸婦を描いたのでしょうか。
結論からいってしまえば、彼らはその時代の「美女」を描いたのです。
そもそも「美」という漢字は、「大きい(よく太った)」「羊」を意味しています。かつて食べることが生きることの第一義であった時代、太った羊は美しいとみなされてきたのです。
女性についても同じことがいえます。太っていることが美しさに直結している時代、文化があったのです。今日の日本や欧米は「飽食の時代」といわれて久しいのですが、人類の歴史の中で食糧がふんだんにある状況は、ごくごく近年になってからのことでしかありません。
厳しい食糧事情の中で、食べるものに汲々とするという時代が長く続いてきましたし、現在でも世界には飢餓地域が存在します。
充分に食べられないという生活が一般である中で、食べ物が豊富にあり、太るほど食べられるということは、ステイタスの高さを示すものでした。太っていることは富裕さの証明であり、一般の人々にとっては憧憬でもあったのです。
憧憬の対象としての太った女性ー彼女たちをその時代の美女と規定することにさほどの抵抗感はなかったでしょう。豊饒をもたらす神として崇められた、古代の地母神たちもたっぷりと豊満な身体つきで表現されています。太っていることの”価値”は、現代とはまったく違ったものだったのです。
南米コロンビアの画家であり、彫刻家でもあるフェルナンド・ボテロが造形する人物たちは、いずれも顔も身体もまるまると太っています。愛らしさに満ちた太っちょを造り出す理由を、ボテロ自身は「芸術家は理由など知らずにあるかたちに惹きつけられる」という言葉で説明しています。ボテロを惹きつけてやまない、丸いふくよかなかたちは、彼にとって美そのものであるといっていいでしょう。
太った裸婦を好んで描いた画家として挙げたいのが、ピーター・ポール・ルーベンスとピエール・オーギュスト・ルノワールです。太り肉という点では共通していますが、二人の画家が描く裸婦から伝わってくる印象はまるで違います。
ルーベンスの裸婦は重量感にあふれ、どっしりとしてたくましい。太った身体には脂肪がたっぷりついているのですが、その皮膚と皮下脂肪の下には力強い筋肉があることを窺わせます。量感のある筋肉が重量感、たくましさを伝えるのです。
ルーベンスの裸婦は、解剖によって得た骨格や筋肉の知識を存分にその作品に反映させた、あのミケランジェロの女性像を彷彿とさせます。実際、ルーベンスはミケランジェロに深い尊敬を抱いていました。
一方、ルノワールが描く裸婦は豊かな脂肪におおわれていながら、どこか軽い印象です。ふわふわとして重量感や皮膚がぽんと張っている感じに乏しいのです。やわらかいマシュマロのイメージといったら、わかりやすいかもしれません。緊張感のある弾力を感じさせるルーベンスの裸婦とは、その点でも好対照です。
もう一ついえば、美術解剖学的な色彩が強く感じられるのはルーベンスです。構図や人物描写に均衡を求めたルネサンス期の絵画から離れ、動きのあるダイナミックな表現が好まれた、バロック絵画を代表する画家だったルーペンスですが、肩や背中、腹部や腕など、体の各部の筋肉を見ると、内部構造を充分に理解していることが、一見しただけでわかる表現となっています。ルノワールにはそうしたところは薄いのですが、この印象派の画家にも美術解剖学の素養はありました。そうでなければあの裸婦は描けません。
ルーベンスとルノワール。まったく違う作風で太った裸婦を描き続けた二人の画家ですが、キャンバスの奥に見すえていたのは、まぎれもなく、それぞれの美女の骨格だったのです。
ピーター・ポール・ルーベンス「毛皮をまとうエレーヌ・フルマン」
ピエール・オーギュスト・ルノワール「陽光の中の裸婦」
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