自己犠牲を払える人に、トップになってほしい

「カンブリア宮殿 村上龍×経済人1 挑戦だけがチャンスをつくる」村上龍、日経ビジネス文庫、2009

稲盛和夫京セラ名誉会長

P405

村上 経営者に向いている資質というのはあるのでしょうか。
稲盛 向いているかどうかという問題もあるけれど、持ってほしい資質と、持ってほしくない資質はあると思います。自分の欲望、野望を達成することだけを目的とした方が経営者になると、社員は被害者になります。経営者になりたいと思う人は、自己犠牲を払ってでも社員とお客さまを大事にしようと思ってほしいです。というより、大事にしようと思えばある程度の自己犠牲は免れない。それをいとわない人間性を持った人でないと経営者になってはいけないと、私は思うんです。ただ現実にはみんながそうだというわけではありません。自分だけよければいいという経営者もいますから。

村上 以前は「社長」というと、とにかく一番偉い人で、社員になったらなりたいと思うのが当たり前でした。”社長シリーズ”のような映画の影響かもしれませんが。
稲盛 それは功成り名遂げて社長になったということですよね。だから部下も周囲もちやほやしてくれるし、給料もたくさんもらえる。そういう意味で一度社長になってみたいなと思う若い人もいると思います。でも映画もそうだったけど、そういう人は必ずずっこけますよね。有頂天になり慢心して、足元が崩れていく。会社を立派にしていこうと思う人はそんなヨイショに乗らないものです。神輿みたいなもので、みんなが「ヨイショ、ヨイショ」とかついでくれるけど、慢心して横暴になると、みんな手を離しますから。

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