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週刊文春’99.4.15.p92読むクスリ 上前淳一郎

苦労はあらへんえ

 今をときめく京女、服飾研究家の市田ひろみさんに、取材スタッフの鹿野由利子さんがインタビューに行ってきた。

 なにしろ、おおらかな北海道の原野育ち、考えるより先に言葉が出るアメリカ人みたいな現代っ子だけに、市田さんのお話には教えられるより先に驚かされることのほうがよほど多かったらしい。

 たとえば、

「京都の人は十のうち六つぐらいいうて、あとは相手が察するようにいわはるねん」

「はあ」

「京は昔から権力争いの場やったから、旗幟(きし)を鮮明にしたらあかんねん。どっちが勝つか、わからへんもん」

「それは聞いたことがあります」

「どっちにつくかはいわず、この人もよろしいけど、あっちの人もよろしいなあ、と」

「なるほど」

「その、よろしい、とほめるのも、優良可でいえば『お見事』いうのが優や」

「はい」

「『結構どすな』いうと良」

「ははあ」

「つぎに『まあまあどすな』いうたら、ふつうは平均点と思いますやろ。それが違う。可やねん」

「まあまあ、は可ですか」

「それで、『もうひとつどすなあ』いうのが、不可を意味するいちばん厳しい言葉。これいわれたら、もう終わりや」

「京都の人は、たいていのことは耐えてやり過ごせるように、子供のうちから訓練されてますねん。これは一つには気候のせいやね」

「夏は暑く、冬寒いところですよね」

「春と秋のええ季節短いんどす。四季の巡り方が不公平なんやね。それでも不満はいわず、にっこり笑うて『暑うおすなあ』と」

「はあ」

「これが大阪の人やったらね、『暑いなあ、たまらんなあ、もう嫌や』となる」

「ははあ」

 

「京都の人は、そこをはっきりいいません。もし子供が『暑うてたまらんなあ』いいますと、母親やおばあちゃんが、『もう、えずくろしいなあ』と叱りますから」

 えずくろしい、という京都弁は、うるさくいって、やかましい、の意味だ。

「それで子供は黙ります。そうやって祖母から母、娘へと、にっこり笑うて『暑うおすなあ』と挨拶する文化が伝えられていくんどす」

「そうなんですか」

「同じ暑いのでも、にっこり笑うのと、しかめ面するのと、それが京と大阪の違いですねん。そして、その違いが、京都の人はようわからん、いわれるようになった理由の一つですやろなあ」

 

「私は子供のころ親から、『いつも笑顔でいなはれ』と育てられました」

「・・・・・・・・・・」

「嫌なこと、つらいことがあるときほど、『私ら何も苦労はあらへんえ』という顔でにこにこしていなさい、と教えられたんです」

「それはまた、どうして?」

「陰気な顔していると、『あの人、いろいろ問題ありやで』いわれる。そういう娘になったらあかん、ということやったんやろねえ」

「はあ」

「回りに『ええ子やなあ、あの娘はんは』とか『気立てのええ娘はんや』いわれる子がいっぱいいてはる。その子たちに負けんよう、みんなに好かれるようにならなあかんで、とね」

「そうだったんですか」

「回りはみなライバル。ひとりだけ、ぶすっ、としているわけにいかん、と本人も思うようになるから、笑顔のええ娘はんがふえる文化が作られていったんと違いますか」

『八方美人で生きなはれ』という著書のある市田さんは、女子社員教育に企業から招かれると、まず黒板に書く。

「笑顔は最高の化粧」

 

「でも、最近は京都の若い女性も変わったんじゃないですか」

 圧倒されっぱなしだった鹿野さんがやっというと、市田さん、

「それは、このごろお行儀の悪い娘はんもあるようですけど」

とだけおっしゃってあとはにこにこ。

 さすが、嫌なことがあるときほど笑顔になり、十いいたいことは六で止めて、えずくろしくならずにいらしゃる、と鹿野さん感心しきりだったそうだ。

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