介護地獄アメリカ

「介護地獄アメリカ 自己責任追求の果てに」 大津和夫 日本評論社 2005 という本を読みました。
・医療の国民皆保険さえない米国、公的介護保険などあるわけありません。では、誰が介護しているのか?

・アメリカで介護を支えているのは施設ではなく、多くの場合、家族が看るそうです。在宅で介護を必要とする人の七割は行政の支援を受けず、娘などの家族がケアをしているそうです。
・伝統的に育児とともに、介護は女性が担ってきたそうです。介護できる女性がいない場合はもちろん男性も介護をします。

・介護を担う女性たちには、介護、育児、家事、仕事と三重、四重の負担がのしかかっています。
・ニューヨークで65歳以上で、ナーシングホーム(日本の特養や老健にあたる)に入っているのは2000年で4%。1990年で4.5%。だんだん少なくなってきているようです。
・全米でアルツハイマー症の7割が自宅介護だそうです。
・マンハッタンのナーシングホームの入居費用は、平均で一日255ドル(2万円)、年間で9万3千ドル(744万円)。
・ナーシングホームに入居するのは、よほど裕福な人か、一文無しになって政府の貧困層向け公的医療保険制度「メディケイド」の適応を受けて、国が入居費用を負担する、というパターンが多いそうです。
・作者の取材に対して日本の介護システムについて逆取材され、「日本には公的な介護保険制度があり、四十歳以上の国民は、適切なサービスを、九割引きの価格で受けられる。」と言うと、皆一様に「うらやましいですね」の第一声を発するそうです。「老後は日本で暮らしたい」「アメリカの介護はめちゃくちゃだ」の声もあったそうです。
・第二章は医療について書かれています。次男の右腕複雑骨折の治療費70万円。保険に入っていたので自己負担はなかったが、全米で無保険者が4360万人。保険が無ければ治療費は病院側の言い値。一千万単位の請求例も。自己破産も当然あり。保険がなくて、治療が受けられずに亡くなる人が年間1万8千人。民間の医療保険は家族を対象とするもので年間100万円は必要。
・「救急車の追っかけ野郎」(Ambulance Chaser)と言う言葉が紹介されていました。患者を乗せた救急車を追いかける弁護士のことだそうです。けがや病気になったら、駆けつけて「診療で何か不都合はないか?少しでもあるなら、いっしょに訴えましょう」と患者側をたきつけているそうです。「成功報酬」だから患者は簡単に訴訟をおこすそうです。
・医療過誤訴訟に関しては産婦人科が一番悲惨で、脳性マヒで生まれた場合、70億円請求された医師がいたそうです。
・眼科が人気で、どの大学でも優秀な学生は眼科医をめざすそうです。生命を脅かす危険が少なく、訴えられるリスクも少ない。レーザー治療など短時間で報酬もいいからだそうです。眼科医になるのは大激戦だそうです。皮膚科も人気があるそうです。
・支払い能力によって、受けるサービスの格差が広がっているアメリカの医療や介護は、「特権であり、権利ではない」そうです。

▲このページのトップに戻る