マンガが世界に伝えるモノ

  海外人気の秘密は「正義」
 歴史観まとい、さらに飛躍を    週刊朝日2012.1.20 P142
 作家・慶応大学講師  竹田恒泰(たけだ・つねやす)1975年、東京都生まれ。著書に『日本はなぜ世界でい ちばん人気があるのか』など
 

 

  日本のアニメやマンガが世界に与えた影響は計り知れません。
 欧州サッカー界には元フランス代表主将のジネディーヌ・ジダンをはじめ、「キャプテン翼」の大ファンだった選手がたくさんいます。女子バレーボールのイタリア代表のエースであるピッチニーニは「アタックNo.1」を見てバレーを始め、主人公の鮎原こずえと対戦するのが夢だったそうです。
 欧米のコミックショップに並ぶ本の約9割が日本のマンガの翻訳版で占めるほど、日本のマンガは支持されています。なぜでしょう。
 日本人の美しい生き方が投影されているためです。
 ある編集者から聞いたところ、海外でウケる作品に必要なのは「正義」なのだそうです。真面目で他人のために努力する日本人の価値観が素晴らしいと思われているのです。
 東日本大震災の被災地で助け合いながら、みんなで立ち上がろうとする日本人を見て、海外の人々は感動しました。これほどの災害が海外で発生すれば、略奪や殺害が起きてもおかしくないからです。
 欧米を中心に日本人の精神を見習おうとする動きが出ています。物質的な豊かさを求めた時代から、経済競争や戦争に疲れ果て、各国と調和を図るのが重要だと気付き始めたからです。
 日本人自身も3・11を機に、古来の美しい精神を見直し始めました。書店には日本の文化や精神に関する本が山積みです。かつてなかった光景でしょう。
 ただ問題は、戦後の日本人から歴史観が抜け落ちていることです。日本建国の歴史を語れる人は少ない。歴史の教科書に建国の歴史が書かれていないのは、世界で日本だけでしょう。
 20世紀最大の歴史学者トインビーによると、10代の前半までに自国の歴史を教えなかった民族は必ず滅ぶそうです。それほど国の文化や精神に影響するものなのです。戦後の日本には、自分の国に興味を持たない人さえ出てきました。
 今年は古事記の編纂から1300年。建国の書である古事記を勉強し、歴史観を培うのに良いタイミングではないでしょうか。
 日本は世界から必要とされています。それはアニメ・マンガの流行を見ればわかります。日本人がしっかりとした歴史観を持ち、日本人としての輝きを取り戻すことは、世界にとって必ずプラスになるでしょう。

 


 

▲このページのトップに戻る