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  千葉大教授広井良典先生による4つのシステム比較です。一番左のAが純粋な社会主義です。資源配分は計画経済による公的コントロールとなっています。一番右のDが純粋な資本主義です。資源配分は私的で市場経済になっています。所得再分配は弱くなっています。左から二番目が中国などが始めた社会主義市場経済システムです。資源配分は私的で市場経済ですが、土地などの所有に関して公的な関与があります。所得再分配は社会主義市場経済における社会保障システムを現在模索中であるということです。Cは福祉国家で一応私的な市場経済ですが、所得再分配は強く、積極的な社会保障制度がとられています。広井のいうのはBとCは実は資本主義と社会主義の中間形態という点において構造的によく似ているということです。またこのテーマは非常に興味深いところであるのに、意外にもあまり認識されていないということです。
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 ここでは、同じ資本主義国家の中でも社会保障や福祉の大きさや程度により、北欧やイギリスのA普遍主義モデル、ドイツフランスのB社会保険モデル、アメリカのC市場型モデルと分けられています。
  要するに個人的見解を述べさせていただくと純粋な社会主義が崩壊を見せている中で、純粋な資本主義の正しさが証明された訳ではなく、どの国も中道の道を模索している状態です。実際、北欧を典型に社会民主主義が政治ないし、二大政党の一翼を担い、現在でもスウェーデン、イギリスの労働党、スペインなどで社会民主的系の政党が政権を取っています。ドイツでは1998年から2005年まで社会民主党と緑の党の連立政権でした。にほんの民主党がそれにあたるかと言えば疑問ですが、社民党は絶対その系統だと思います。日本とアメリカだけが小さい政府を目指している、福祉国家とまでは言わなくてもせめてもう少し大きい政府でいいんじゃないか。大きな政府の福祉国家でもない、小さな政府の新自由主義でもない、第三の道があるんじゃないか。ドイツ、フランス並みにそこそこ大きい政府でないと医療費の国庫負担が一般会計にある限り小さい政府を目指せば永久に医療費は上がらないよということじゃないかと思います。
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  公共事業費ですが、ご存知のように日本はかなり多くなっています。1970年代前後に日本とヨーロッパの政策選択の分水嶺があったと広井先生は言います。ヨーロッパの公共事業費はこの時期以降減少傾向をたどったけれど、日本のそれは横ばいかむしろ増加した。ヨーロッパの失業率はこの時代から徐々に5%を超えるレベルに入っていくが、日本のそれは低いままで推移します。公共事業により失業補償になっていた訳です。公共事業が実質的な社会保障になっていたという考え方です。公共事業で作ったものが残るは、現金支給ができるは、選挙向けの票集めが期待できるはで、1石3丁だったのです。
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  ここに出ているように、県民所得が低い県では公共事業が多く行われました。これにより、地方間格差を埋める再分配がうまくいっていたわけです。公共事業を少なくしたとたん、一気に地方は苦しくなりました。しかし、公共事業による社会保障という手段がずっと続く訳がありません。永久に何かを作り続けなければいけないからです。当然、無駄なものも作ろうということになる。本来、社会保障費というものは、社会保障そのものに使われるべきものです。

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