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  何でここまで医療崩壊が進んだのか。全ての誤りは1983年「医療費亡国論」から始まったということです。1983年この前の年に武見太郎が医師会の会長を辞めたそうです。そして1983年の暮れに亡くなったそうです。一番下に社会旬報「医療費をめぐる情勢と対応に関する私の考え方」厚生省保険局長吉村仁と出ています。この人は厚生省の歴代局長の中で最も有名な局長になったそうです。
  その中身とは、
@医療費亡国論:このまま租税・社会保障負担が増大すれば日本社会の活性が失われる
A医療費効率逓減論:治療中心の医療より予防・健康管理・生活指導に重点を置く必要がある
B医療費需給過剰論:医療の供給は1県1医大政策もあって、近い将来医師過剰が憂えられ、病床数も世界一、高額医療機器導入も世界一高い
  世界のCTの半分が日本にあるという話もありました。
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  医療費亡国論を受けてその11年後の1994年3月、2025年の国民医療費の見通しを当時の厚生省(2001年1月に厚生労働省に変わる)が発表しました。当時、国民医療費は25兆円だったのが、2025年には141兆円になるという見通しです。なんで2025年かというと団塊の世代の一番最後の人たちが後期高齢者になる年で、老人の比率が一番高まると予想されている年だそうです。
  これは当時の6倍近くになるというので、大変だということで、一気に医療費抑制の流れが出来てしまいました。これはその後2度見直しをされ、2000年10月に81兆円、2006年1月に65兆円と141兆円の半分以下になりました。なんでそんなに見通しが変わるんだ、1994年の発表は厚生省の陰謀ではないか、いろいろな声が出ましたが、対国民所得費を見るとどれも12〜13%で変わりがありません。結局、不況で経済成長率が下がったのでそうなったというのが真相のようです。
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  金額の大きさにだまされたらだめです。必ず対GDPもしくは対国民所得に対しての比率で見る習慣をつけないとだまされます。
  横軸に65歳以上の人口比率、縦軸に社会保障費の国民所得に対する割合になっています。厚生労働省『社会保障の給付と見通し平成18年5月推計』による2025年の日本の予想です。社会保障の給付ですから、年金も医療費も全部含めての数字です。この表には出ていないのですが、金額的には141兆円で先ほどの1994年と全く同じですが、これは2年前のデータです。

  2006年の90兆円の1.8倍になる。これは大変だと言っても、国民所得に対する比率から言ってほとんど横ばいだということです。金額だけの議論は百害あって一利なし、常にGDP比、国民所得比で考えます。
  老人比率が8%も上がっても社会保障給付金がほとんど上昇しない未来しか想定されていないということになります。ただでさえ小さすぎる政府が、ほとんど横ばいの20年後の社会保障費の負担を心配して、いっそうの歳出削減努力が言われています。この小さすぎる政府は20年後日本で暮らす人たちの生活をどの程度のレベルで想定しているのか。どんなレベルの生活をさせられるのか、私は不安に思っています。

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  いかに小さい政府であるか、これを見ていただければわかると思います。縦軸に消費税率の対GDP比を横軸に租税プラス社会保障負担の対GDP比を表しています。日本とアメリカだけが異様に小さくなっています。大きい国では、半分以上持っていかれた上に消費税も大分かかります。

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