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 1970年代はイギリスも「ゆりかごから墓場まで」という有名な言葉がありますが、世界がモデルとするぐらいうまく機能していたようですが、1980年代に入り、景気の悪さもあって、財政難になりサッチャーが市場原理主義を導入し、大幅な医療費抑制策が取られました。これにより先ほど言いましたが、医療がうまく機能しなくなり、医療崩壊の状態となり、何とかしないといけないということで、2000年にブレアが大胆な医療制度改革を行いました。何と医療費も医学部の定員も50%増やすというのです。
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  「TINA」これはサッチャー元英首相のスローガンThere is No Alternative.の略です。新自由主義(ネオリベラリズム)政策以外に道はない、という意味です。
  これが、小泉元首相のスローガンである「改革なくして成長なし」「聖域なき構造改革」とThere is No Alternative.が似ていると指摘する人もいます。信念を持った政治家が現れて強引に医療制度改革を行うと医療崩壊がおきるようです。ドイツやフランスは医療費が大きくなるのに、自然に任せていた所の方が比較的うまくいっているようです。この後イギリスでは、ブレアが新自由主義の小さな政府でもない、社会民主主義傾向が強い大きい政府でもない、第三の道(The Third Way)があるんじゃないかと方針転換を図ったわけですが、日本はどうなりますか。

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   (金額はレートにより違ってきます。)

  イギリスというのはどういう国か、日本と比較しています。人口は日本のほぼ半分。消費税は17.5%となっていますが、軽減税率というものがあり、ものによっては5%、0%となっているようです。医療、食料品、子供服、住宅建築には消費税がかからないようになっているようです。

  所得税は日本と同じ累進課税でその上限は40%で同じですが、上限になる金額が740万円と1800万円とだいぶ差があります。消費税とあわせて考えるとイギリスの方がだいぶ税金で持っていかれる、いわゆる大きい政府だという推測がたつと思います。

  健康保険の財源は、日本は保険料と税金ですが、イギリスでは税金のみとなっています。診療報酬はイギリスでは、キャピテーションとなっていますが、これは人頭割りということで、患者一人につきいくらという形で支払われるということです。これは結構医療費抑制に効果があるみたいで、アメリカでは高齢者と障害者にメディケアという公的保険があるということは先ほど言いましたが、民間の保険会社に委託される形で運営されています。1998年に制度改革で、民間の保険会社が赤字にあえいで、次々撤退していった中で、黒字を出していたのはこのキャピテーション契約をしていた会社だけだそうです。最初から一人につきいくらと決めているので、予想外の出費がないことがいいようです。

  日本は部分的に包括払いも導入されていますが、基本的に出来高払いとなっています。これは一番医療費がかかる方式のようです。アメリカでは保険料の一番高い保険、大企業の重役達が入る保険がこの形を取っているようです。それでも日本の医療が成り立ってきたのは、単価を安く抑えることによってです。

  日本では薬をいっぱいもらえば、「この先生、儲けようとしてるんではないか?」と疑われるのに、キャピテーションの制度のもとでは、かかった医療費との差額が医者の儲けになるため、薬が少なければ逆に「儲けようとしてるのではないか?」と疑われるそうです。

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  国民皆保険で、NHSでは無料となっています。イギリスの医療制度はNHS(National Health Service)というシステムの下で運営されているそうです。日本で言うところの公社にあたるそうです。この組織は巨大で、中国の軍、インド鉄道に次いで、世界第3位の大きさの雇用者ということです。私(わたくし)立の病院もないことはないそうですが、少ないそうです。それぞれの医院はNHSと契約制になっており、医者は実質的には国家公務員と同じような位置づけにあるそうです。

  それぞれの患者さんはGP(一般開業医)に登録制になっており、GPを通して専門医や自費診療に紹介されるようになっているようです。GPを通さずに、専門医に行っても全額自費診療になってしまいます。民間の医療保険もあるにはあるそうですが、値段が高いので、加入者は限られているようです。7%だそうです。
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  (金額はレートにより変わってきます。)

  歯科は一部負担金を払うようになっています。これは歯科に関しては自己責任という考えからだそうで、値段は3つしかありません。日本円にして3千円でチェック、歯石とり、ポリッシュ、レントゲンなど、8500円が虫歯の治療、根管治療、抜歯など、38000円がクラウン、ブリッヂ、入れ歯などになっています。何本治療しようがこの値段だということです。キャピテーションの考え方に似ています。歯の矯正に関しては、16歳までの歯科治療は無料なので、それまでにやれば無料ということだと思います。妊婦、出産後1年までの歯科治療は無料です。生活保護ももちろん無料、半年ごとにリコールはがきが来て、患者さんがそれに応じなければ、登録医に解消ができるということです。患者さんは遠くに新しい登録医を探さないといけなくなるようです。 

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