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院長がある歯科開業医の講演会に行ったら、講師の先生が「粗食のすすめ」を取り上げて、「歯槽膿漏も成人病。粗食にしたら、歯槽膿漏も悪化しない。」と断言していました。その先生は以下のような意見があるのをご存知なのでしょうか?聖路加病院の日野原先生は2017年に105歳で亡くなられましたが、晩年まで現役でいらしたそうです。少量ですが、ステーキを召し上がっていたと聞いたことがあります。違和感のある講演会でした。
「粗食のすすめ」では長生きできない
2000.10.5週刊文春P44
季節別レシピ集まで発行、百万部を越えるベストセラーになった『粗食のすすめ』。四百五十年前の文献を基に、肉食をやめ、粗食を実践することで長生きできると説くが、実態は逆。肉を食べず粗食をすると脳卒中になりやすく、長生きはできないと専門家が指摘する。
最近テレビの相談コーナーで、ひとりのお年寄りがこんな相談をもちかけていた。
「私はお肉が食べたくてしょうがないのに、肉を食べると長生きできないといって、嫁がお肉を食べさせてくれないんです」
前・東京都老人総合研究所副所長、現・桜美林大学老年学教授の柴田博氏も、同じようなケースの話を聞いた。
「ある老人ホームでは、そこの調理場をあずかっている人たちが、肉料理をホームのお年寄りたちに出さなくなってしまい、お年寄りたちが嘆いているというのです」
なぜ、こんな悩みを抱えるお年寄りが最近増えているのか?
その原因は、伝統食と民間食養法の研究を行なっている幕内秀夫氏が著した『粗食のすすめ』(東洋経済新報社刊)。実践マニュアル編、レシピ集など合わせると百万部を突破、大ベストセラーとなったこの本は「日本古来から伝わる質素な食べ物を食べていれば、健康で長生きができる」という発想で書かれ、実質的に肉食を禁じているのである。
『粗食のすすめ』では、ガンをはじめとするほとんどの病気は、食生活が原因の「食源病」であると論じ、「『食源病』を防ぐ一〇箇条」として、次のポイントをあげている。
1、 ご飯はきちんと食べる。
2、 穀類は胚芽米、玄米など未精製のものにする。
3、 副食は野莱中心にする。
4、 みそ汁、潰物、納豆など発酵食品は毎日食べる。
5、 肉類を減らし、動物性食品は魚介類や卵くらいにする。
6、 揚げ物は控えめに。
7、 白砂糖の入った食品は避ける。
8、 砂糖や塩は未精製のものを使う。
9、 できる限り安全な食品を選ぶ。
10、食事はゆっくりよく噛んで食べる。
このなかで、もっとも世間に影響を与えたのが「肉類を減らす」という項目。幕内氏の論理は次の通り。〈最初に日本の土を踏んだキリスト教の宣教師フランシスコ・ザビエルが、カトリック教会の本部宛に出した手紙には、『日本人は自分たちが飼う家畜を屠殺することもせず、またこれを食べない。彼らはときどき魚を食膳に供し、ほとんど米麦飯のみを食べるが、これも意外に少量である(略)』と書いている。日本人もまた、肉を食べずに、それでいて元気に過ごしてきた民族なのだ。世界には長寿者のたくさんいる村がいくつか残っているが、その中でも肉を多食しているところはない〉
寿命が延びた原因は肉食
そして氏は、長寿村として知られている山梨県の山村・上野原町棡原(ゆずりはら)の例をあげ、棡原のお年寄りたちは、「麦やアワ、キビなどの雑穀、芋類を主食にして、野菜や山菜などを副食にしてきたという。肉や牛乳、乳製品などはほとんど食べずに生きてきた」という。
だから、肉を食べると長生きできないと論じるのである。実際、『粗食のすすめ』のレシピ集を見ると、肉はまったく使われていない。
しかし、ザビエル来日といえば四百五十年前の出来事。その手紙だけを論拠として、「肉悪玉論」を展開していいのだろうか。
この「幕内理論」に異を唱えているのが前述・柴田氏。肉食賛成派として、いくつもの著書を出している柴田氏が語る。昭和二十年代から四十年代の二十年間で、日本は飛躍的に寿命が伸び、昭和四十五年には世界一の長寿国になりました。この期間に日本人の寿命が延びた最大の貢献者が肉食なのです」
かつての日本は脳卒中天国で、それが平均寿命を低下させている最大の原困だった。この予防に肉食が大きな力を発揮し、平均寿命は大幅に延びたというのだ。
「肉には植物性タンパク質や魚では補えない栄養素や生理活性物質が含まれています。もともと日本人は動物性タンパク質不足で短命でしたが、肉も魚も野菜も米も食べるようになって長寿になったのです」(柴田氏)
これまで日本では、脳卒中の予防には肉食を控えたほうがよいと考えられていた。しかし実情は逆だった、と柴田氏は言う。「日本型脳卒中の特徴は、コレステロール値が低い人に多い点です。コレステロール値が低いと、細胞膜のコレステロールが少なくなり、血管が弱くなってしまうのです。ところが日本では、コレステロールや血庄の値が高いと危ない心筋こうそくと脳卒中が、同じ原因でなると考えられていた。そこのところに誤解があったのです」
粗食のほうが脳卒中になりやすい
それを実証するものとして、次のようなデータがある。
「外国人と混血しなかったハワイの日系人は、世界的にも長寿グループとして知られていますが、ハワイの日系人男性八千人を対象にした調査では、血中コレステロール値が低いほど脳卒中の死亡率は高く、コレステロール値が二百四十〜二百六十九(mg/dl)のグループが一番低かったという結果になっています」
昭和四十年代には、秋田県で脳卒中が多発したが、その原因を調べると、コレステロール値が百五十〜百六十と低かったという。「そこで地元の人たちに食ベているものを聞くと、みなさん肉などあまり食べずにお米、大豆製品、野菜といった粗食が中心でした。
これが、昭和五十年代になって、秋田県でもコレステロール平均値が百七十〜百八十に上がり、脳卒中が半減したのです」(同前)
幕内理論とは逆に、粗食のほうが脳卒中になりやすいというのである。
柴田氏は、この他にも肉食のメリットを拳げる。
「肉はアミノ酸の構成が体に一番近い良性のタンパク質です。タンパク質は二十種類のアミノ酸で構成されていますが、そのうち体内で合成されない九種類は、食事で必ず摂取しなくてはならないため『必須アミノ酸』と呼ばれています。この必須アミノ酸を一番多く摂取できるのが肉なのです。牛、豚、鶏の肉を百とすると、魚が九十くらい、大豆は六十くらいと言えるでしょう。また、近年では、肉には脳を刺激して心に幸福感を与える『アナンダマイド』という物質が含まれていることも分かっています」
そもそも幕内氏は、肉を排し、粗食をすすめる理由として「どの民族も代々先祖が食べているものを食べるのがベストの食生活だ」という自説によりかかっているのだが、これがまたかなりの暴論なのである。
その内容を要約してみると、以下のようなものだ。
〈たとえば、北極圏に住むイヌイットの人たちは、野菜はほとんど食さず、アザラシや白熊の肉を主食にしている。パプア・ニューギニアの高地で暮らす人たちは、一日に一キロ以上のサツマイモを食ベ、それ以外の食物は極めて少ない。しかしみんな健康に暮らしているのは、生まれ育った土地の人が作った食習慣を守っているからだ。
それに較べ、日本は稲作国家なので米を食べるべきなのに、現代人はドイツの栄養学に根ざした考えを手本にして、日本人の体に別の伝統食を与えてきた。だからこそ、慢性病患者が増えているのだ〉
柴田氏が反論する。
「縄文時代の貝塚の付近からは、貝殻や魚の骨にまじって、獣や鳥の骨がたくさん出土しています。つまり当時の人は、狩猟をして肉を食べていたのです。
弥生時代に入って稲作が始まり、主食は米となりましたが、七世紀までは日本人は相当肉を食べていました。肉食が禁止されたのは、仏教思想が入り、大和朝廷が『殺生禁断令』を出してからです。日本人が肉食に合わない人種だとはいえないはずです」
さらに柴田氏は、日本人の食生活は見た目ほど欧米化していないと言う。
「欧米社会では、一日に摂取する総エネルギーの量が三千キロカロリーを越えていますが、日本人は二千キロカロリ−です。
脂肪にしても、アメリカ人が毎日百四十グラムの脂肪を摂取しているのに対して、日本人は一日六十グラム。食べるものがバラエティに富んできたので欧米化しているように見えますが、日本人の食生活は決して欧米化などしていない」
『粗食のすすめ』を問題視しているのは、なにも柴田氏だけではない。
棡原の人々もこの本に迷惑
元・東京都消費者センター研究室長・増尾清氏はこう語る。
「ひとつのことには、メリットとデメリットの両面があるので、その両面から見て、結論を出さなくてはなりません。幕内氏の意見は、あることに関してはよい面だけを見て、他のことに関しては悪い面だけを強調するといった論法で、視点に一貫性がない。
また、説明があまりにアバウトだと思います。魚ひとつをとりあげても、マグロとシャケでは栄養素が大きく違うのに、その点を述べないで、肉はよくないが魚ならいいという論法は、かなり乱暴だと感じます」
さらに増尾氏は、野菜や穀類に関して、現代では環境間題なしに語ることは出来ない、と続ける。
「野菜に関しては、ダイオキシンや農薬の問題などを頭に置かなくてはなにも語れません。たとえば、ぬか漬などは、ぬかの部分にダイオキシンが沢山たまるので、あまり古いぬかでつけたものは薦められません。
胚芽米や玄米も、まわりにダイオキシンがついているので、それらを取り除いた白米のほうが通常は体に悪影響を及ばさない。また、日本の土壌はカルシウムが不足しているので、そこで出来た野菜はカルシウムが少ない。カルシウムを補うために、やはり牛乳も必要です」
しかも、暮内氏が長寿村として大々的に紹介し、長寿食の理想とする、棡原の人々が、実は『粗食のすすめ』で迷惑をこうむっているというのである。
「『粗食のすすめ』とかが売れて、いろいろな人がこの村にやってきて、私らの食事の内容を知りたがるけど、普通のものを食べてます。麦や粟、きび、ひえなんて何十年も前の食生活を引っ張りだしてきて長寿食なんて言ったって、今の時代には合わないし、ここに住む若い人たちは、『いまだにそんな物食べてるの?』と、他の土地の人達から聞かれて嫌がっていますよ」(食品を扱う五十代の男性)
この地で「梅鶯荘」という民宿を経営する八十歳の石井節子さんは、長寿の秘訣は食生活ではない、という。
「三十年前までは、この辺は林業と炭焼き、養蚕が盛んで、あんな高い山のてっぺんまで桑畑が続いていたので、足腰が丈夫じゃなきゃやっていけなかった。
ここに住む老人達が長生きしてたのは、食生活だけでなく、気を張って畑仕事をしないと山から滑り落ちてしまうような毎日の積み重ねからです。長生きするしないは、精神面が大きく作用していると思いますよ」
さて、この村でさまざまな人に話を聞いていると、話の中に「古守さん」という名前がよく登場する。
実はこの古守豊甫(こもりとよすけ)氏、昭和六十三年に『健康と長寿への道しるべ』という著書を執筆し、そのなかで棡原を紹介している人物なのだ。
しかも氏の著書の基本理念は『粗食のすすめ』と同様。幕内氏の本の内容は、それの焼き直しといってもいい。しかし、本家の古守氏ですら、粗食ブームに関しては否定的なのである。
金をかけない「健康」はありえない
「『粗食のすすめ』が売れたことで老人に肉を食べさせないような現象が起きているとしたら、それは、減塩、減塩と騒がれて、みそ汁好きのお年寄りが隠れて飲んでいる状況とまったく同じですね。
いままで肉を食べて健康に暮らしてきたお年寄りが、肉を食べなくなったからといって、より長生きできるとは限らない。元気に暮らしてきたお年寄りには、それなりの食生活のリズムがあるので、何十年も肉を食べていて問題なければ、いままでどおり食べればいい。体が弱くなると、目然に肉など食べる量が減ってきますから。
必要なのは、肉はほどほどに食べて、その分野菜を食べること。僕は食べた野菜の量が寿命を決めると思っています。棡原は、畑と食卓が直結していたので、新鮮で旬の野釆が食卓に並んでいたのです」(古守氏)
現代人、特に都会人にとっては(畑から句の野菜を採ってきて食べる)という行為は、夢のまた夢。ある意味では「粗食」どころか、実現不句能なほどの贅沢な生活とも言える。
しかし、前出・増尾氏によれば、『粗食のすすめ』の最大の間題は「食費にお金をかけなくてもよい」と受け取れるような表現をしていることだという。
「昔の人達が食べていた野菜は、化学肥料やダイオキシンなどの害のないものでしたから、栄養価も高く美味しかったでしょうが、いまそのような野莱を食べようとしたら、高価な有機野莱を買う必要があります。
玄米や胚芽米にしたって、あまり売れないので、古いものが平気で売られています。それに輸入ものが多い。新しくて安心な玄米、胚芽米を買うためには、きちんと信用のおける店で買う必要がある。魚だって、人間の体内蓄積ダイオキシンの約六割が魚を通じて体内に入ってくるといわれてます。健康のためには、食生活には多少お金をかけるべきだと思います」
食材費はケチらずに、新鮮で安心なものをバランスよく食べること。
長寿の秘策はこれしかないようだ。
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