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  「がんばらないけどあきらめない」で有名な医師の鎌田實先生も三木先生の思い出を次の様に書かれています。(鎌田實先生は院長の大学の先輩ですが、お会いしたことはありません。)

  週刊朝日2005.6.3号40ページ

  「がんばらないけどあきらめない」鎌田實「人間はどこから来たのか」

  君はスーを見たか。全長12.8メートルの世界で最も有名な恐竜と言われるティラノサウルスを国立科学博物館で見てきた。6700万年前のスーは巨大恐竜としてアメリカ大陸を闊歩していた。人間の祖先がうまれたのが700万年前だから人間が誕生する前の話だ。

  スーザン・ヘンドリクソンという女性が発見したので、発見者の名をとって「スー」と呼ばれるようになった。化石の調査を終えて帰ろうとした時、突然霧が消え、太陽に照らしだされた崖に、恐竜の骨がうき出して見えたという。スーは6700万年もの間、発見されるのを待っていた。近くに若いティラノサウルスの骨もあった。スーには家族がいた可能性があるという。

  スーを見ながら僕は三木成夫先生のことを思い出した。まじめな大学生ではなかったが、東京医科歯科大学 で三木先生の授業が聞けたのは至福の喜びだった。解剖学や発生学を教えていただいた。「胎児の世界」(中公新書)「海・呼吸・古代形象」(うぶすな書院)といった魅力的な本は、先生が亡くなられた後も、たくさんのファンが読み続けている。「三木学」とか「三木教」とも言われ、熱烈なファンが多いらしい。三木先生の命の言葉は哲学者や思想家の言葉のような重みを、今も発している。ぼくらを教えてから数年して東京芸大の教授になられた。そこでもたくさんの芸術家の卵に影響を与えたようだ。医学博士が芸大の教授になるってのも変わっていておもしろい。

  「すがたかたちの解剖学」の講義の中でゲーテの植物研究「原型とメタモルフォーゼ」を引用しながら、生命の40億年の歴史の偶然と必然を魅力的に話してくれた。医学部でゲーテの「ファウスト」の話が聞けるとは思っていなかった。でも大事なことだ。医学者を育てる場だからこそ、感性を養う場が必要なんだ。幸せな時代だった。生物の現象の「かたち」を通して「こころ」を見ることを教えてくれた。

忘れられない三木先生の講義

  形態学をしっかり学びなさいと何度も教えられた。ゲーテの人間とは何かを追い求めていく芸術の深さは、形態学がしっかり基礎となっていると力説していた。ちょうど大阪万博の年に彼の授業を受けていた。評判になっていた岡本太郎の太陽の塔を例に挙げ、人間の形態学が身に付いていないから、人間を追い求めていたのに、太陽の塔は人間を表せていない。芸術は爆発だなんていっても 、人間をきちんととらえる目をもっていないといけない。失敗作だと話してくれた。マスコミが岡本太郎を時代のシンボルとしてもてはやしている時に、三木先生から違う観点があることを教えられた。

  ぼくらは母親の子宮の中で十月十日の歳月をかけて育つ。受胎32日目の胎児の顔を見せてくれた。まぎれもない原始魚類の顔だった。事実から眼をそむけるなと教えてくれた。34日目、胎児の顔は相変わらず不気昧だった。両生類の顔をしていた。40億年前、この地球上に生命は生まれ、単細胞の生物が何億年もの時間をかけて複雑化し、大型化して、母なる海から上陸をしようとしている。水の中で呼吸していた生物が初めて陸にあがり、肺の呼吸ができなかった間は、苦しかったと思う。苦難をかかえた顔をしている。ぼくたちがこうやって人間として生きていられるのも、誰かが苦しみに耐えて陸にあがってくれたおかげだ。36日目、原始爬虫類のような顔をしている。3億年前の恐竜の時代である。ぼくが国立科学博物館で見たスーの顔をしていた。38日目、哺乳類の顔に近づく。こうやって、医学生に人間の原形を丹念に見せてくれた。原形はすべて美しいものではなかった。40日目、やっと人間の顔になった。
 三木成夫の講義は科学的な事実に即しながら、生命の不思議さを教えた。40億年の生命の歴史を十月十日の間にもう1度くぐり直して、ぼくらは人間の子として生まれてくる。生命のすべての記憶が、ぼくらの体にしみ込んでいるのだ。だからかけがえのない命なのだ。三木成夫は、西洋の薄っぺらな人間至上主義というヒューマニズムを超える哲学を教えてくれた。大きな生命の流れの中で、人間が誕生したこと。人間はこの地球でナンバーワンではないということ。大いなる自然の一部であること。
  40億年前、生物がいなかった地球に生命体が突然できた不思議。単細胞で全く同じ生物が複製され、増殖していたのに、雌雄ができた不思議。その結果、それぞれの性染色体の一本ずつが合体して初めて新しい個が誕生した。個性ができて初めて死という概念が生まれた。生き物に生と死があるという不思議。三つ目の不思議は生命が上陸したこと。いくつもの不思議が重なって人類が生まれた。人間とは何者であるのか、人間はどこから来たのかと三木先生は医学生のぼくたちに考えさせようとした。ぼくは三木先生の宿題を今も解き続けている。未だに答えは出ていない。

  院長に芸術を評価することは出来ませんが、一度ゲーテの形態学のベースにある「基本構造の一致」と「代償の原則」を知ってしまうと、神話に出てくる馬の首から上が人間の上半身になっているケンタウロスや馬に翼がはえているペガサスに妙な違和感を感じるようになったとだけお伝えしておきます。三木先生の講義の様子を伝える文章はVの一番下に出てきます。

「生命形態学序説 」三木成夫、うぶすな書院、1992.P30人胎児の顔貌変化。三木先生直筆のスケッチです。頭部を胴体から切離し、双眼実体顕微鏡の下で拡大して写生したものです。手の変化も描かれています。

最初はヒレに似た形状からミズカキ様になり、最後は指になっていきます。

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P31

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