そんなうまい話があるわけない

2019.6.13週刊文春P57伊集院静の「悩むが花」

Q 小学生の孫が学校で将来の夢を訊かれて、「ユーチューバーになりたい」と書いてきました。聞けば動画を自分で制作し、インターネットで流すことを生業とする人たちのことで、大金持ちになっている人もいるそうです。「遊ぶように楽しく仕事ができて、人気者になれて、お金も稼げるから」と孫は言うのですが、そんなうまい話があるでしょうか。若いうちからラクで楽しい仕事を目指している孫が心配です。どうやったら、その性根を直せるでしょうか。(63歳・女・専業主婦)

A そうですか。

 小学生のお孫さんがいらっしゃる。可愛くてしょうがないんでしょうナ。

 それで何の相談でしょう。

 何、何?学校で将来の夢を訊かれて、お孫さんが「ユーチューバーになりたい」と言われたんですか。

 さすがに現代っ子ですナ。

 動画を自分で制作し、インターネットに流して大人気になり広告料やら何やらが入り大金持ちになるのが夢ですか。

 イイじゃありませんか。夢は大きい方がよろしい。

「遊ぶように楽しく仕事ができて、人気者になれて、お金も稼げる」

 ハッハハ、それも愉快ですナ。最近のバカ者の希望をすべて言い当てとりますナ。

 そんなうまいうまい話があるのかって?あるわけないでしょう。それはたまたま今はうまく行ってるふうに見えるバカ者もいますが、その連中はやがて全員、奈落の底へ行きますよ。たとえ金が手に入っても、まともには生きられません。そんなのは常識です。

 ただ可愛いお孫さんの夢だから、やるだけやらしてみるのがイイでしょう。バカなモノを覗くのも、触れるのもイイ勉強です。

 金があれば、それが成功と思う、下品な志しを早いうちにわからせることが肝心です。

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